中国、リトアニアの2銀行に反外国制裁法を適用、制裁リストに追加
(中国、EU、リトアニア)
武漢発
2025年08月15日
中国商務部は8月13日、商務部令2025年第5号で、反外国制裁法
と同法実施規定に基づき、リトアニアの銀行2行(UAB Urbo Bankas、AB Mano Bankas)を制裁リストに追加したと発表した。商務部は同決定について、EUが中国の銀行2行(黒河農商銀行、綏芬河農商银行、注)をロシア関連制裁リストに掲載したこと(2025年7月22日記事参照)を受けた措置と説明している。今回の決定によると、反外国制裁法と同法実施規定に基づき、中国国内(香港、マカオは含まず、以下:同)の組織や個人は、リストに追加された両銀行との取引や協力などの活動が禁止される。
商務部は同日の記者会見で、EUが中国の銀行2行をロシア関連制裁リストに掲載したことと、同制裁を発動したことは、国際法と国際関係の基本原則に著しく違反しており、中国企業の正当かつ合法的権益を損なうものと指摘した。また、一連の行為は、中国と欧州間の経済・貿易・金融分野の協力関係に対して、重大な負の影響をもたらすと述べた。加えて、EUに対して、中国とEU・EU加盟国が経済・貿易・金融分野で築いてきた長年にわたる良好な協力関係を重視した上で、誤った行いを改め、中国の国益を損ない、かつ中国とEUの協力を破壊する行為をやめるよう求めた。
反外国制裁法、台湾への武器売却などに関与した米国の個人・企業中心に適用
中国の反外国制裁法は2021年6月から施行されており、2025年3月には同法の実施規定の発表によって措置が具体化された(2021年6月14日記事、2025年3月25日記事参照、反外国制裁法の概要についてはジェトロの調査レポート「反外国制裁法の概要」(573KB)を参照)。
同法のこれまでの運用動向を見ると、主に台湾への武器売却や、中国に対する内政干渉などを理由として、米国やカナダの企業、個人が中国外交部の公表する反制裁リストに掲載されていた。制裁対象となった場合、査証の発給や中国への入国の拒否、中国国内の動産、不動産、その他各種財産の凍結や、中国国内の個人、企業との取引・協力の禁止などの措置が適用される可能性がある。
(注)いずれもロシアと国境を接する黒龍江省内の都市(黒河市、綏芬河市)に所在する金融機関。
(西島和希)
(中国、EU、リトアニア)
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