インド、米国の関税賦課に強い姿勢で対抗
(インド、米国)
ニューデリー発
2025年08月06日
米国のドナルド・トランプ大統領は7月31日、インド製品の輸入に対する相互関税率を25%(注)に修正する大統領令を発表した(2025年8月1日記事参照)。8月7日より適用される。
当該大統領令に先立ち、トランプ大統領は7月30日に自身のSNSを通じて、インドがロシアからエネルギーや武器を購入していることを問題視し、相互関税率とは別にペナルティーを科す旨も示唆していた(2025年7月30日記事参照)。
これに対しインドは、国内産業保護と国益重視の2国間協定締結を目指すとともに、ロシアとの関係についても強い姿勢を示している。4月の米国による相互関税導入発表後、両国は2国間貿易協定の締結に向けて議論を重ねており、相互関税率についても比較的早期に妥結するだろうとみられていた。しかし、インドで労働従事者の多い重要産業の農業・酪農分野でのインド市場開放などについて折り合いがつかなかったもようだ。インド政府は7月30日に、「インドと米国は公正でバランスの取れた2国間貿易協定の締結に向けて交渉を行ってきており、今後もその目標に向けて取り組む。農業従事者、起業家、零細・中小企業の保護と支援を最重視している」との声明を発信し、国益重視の2国間協定の締結を目指す姿勢を明確にしている。
ロシアからのエネルギーや防衛装備調達に対するペナルティーに関しては、インド外務省が8月4日、「非難の標的にするのは不当で不合理だ」と反発し、「国益と経済安全保障のためにあらゆる手段を講じる」と表明した。インド側は、ウクライナ侵攻開始以降、従来の原油供給が欧州に流れたためロシアからの購入を始めたと主張している。加えて、米国は当時、エネルギー市場の安定強化のため、ロシアからの輸入を積極的に奨励していたとも述べた。
(丸山春花)
(インド、米国)
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