米国務省、武器品目の輸出管理違反を理由に、17人の輸出資格剥奪
(米国)
ニューヨーク発
2025年08月21日
米国国務省は8月19日、武器品目の輸出管理の法令違反を理由に、個人17人の輸出資格を剥奪したと発表し、同日の官報
で公示した。トランプ政権の発足後、この理由で資格を剥奪したのは今回が初めてだ。
米国では、国務省防衛取引管理局(DDTC)が武器輸出管理法(AECA)に基づく国際武器取引規則(ITAR)で、米国軍事品目リスト(USML)に掲載している武器品目(製品、技術、サービス)の輸出、提供、仲介などを管理している。USML掲載の武器品目を輸出などする場合には、一般にDDTCなどから事前に輸出許可を取得する必要がある。
今回、国務省はITARに基づき、AECAへの違反や共謀を理由に2019年~2025年に有罪判決を受けた個人17人の輸出資格を剥奪した。ただし、国務省の発表と官報では、個別のAECAへの違反や共謀の事案の具体的な内容は示していない。
資格剥奪期間はおおむね3年間だが、3年間が経過しても、有罪判決から1年後以降に提出された「法定資格剥奪からの復帰要請」を国務省が承認しない限り、当該個人の輸出許可(ライセンス)の申請は受け付けない。さらに、ITARが適用されるいかなる取引にも、当該個人による直接的または間接的な参加を禁止する。なお、DDTCは、これまでに輸出の資格を剥奪した法人や個人のリストをウェブサイトで公表している。
武器品目のほか、人工知能(AI)技術など民生と軍事の両用品目(デュアルユース品目)に関しては、商務省産業安全保障局(BIS)が輸出管理改革法(ECRA)に基づき、輸出管理規則(EAR)を運用している。国務省の発表と同じ日、BISにライセンスの発行状況を議会に報告することを義務付けるようECRAを改正する法律が成立している(8月21日記事参照)。
(葛西泰介)
(米国)
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