マカオ~横琴間の電子車両通行許可証の共通化で手続き簡素化

(中国、マカオ)

広州発

2025年08月15日

中国の広東省珠海市横琴区にある広東省・マカオ深度合作区(2022年2月17日記事参照)の経済発展局は8月8日、マカオナンバーを保有する車両がマカオと横琴区との出入りをする際に運用してきた電子通行許可証による管理スキーム(注1)について、電子通行許可証を共通化した新たなスキームを実施すると発表した。新スキーム施行は8月15日から。

従来のスキームでは、マカオのナンバープレートのみを保有する車両が横琴区への通行許可を申請する際、マカオ新通達検車センター(注2)で中国本土側の電子通行許可証を取得して車両に貼付し、さらに、マカオ税関発行の電子通行許可証を貼付する予約を済ませる必要があった。新スキームによって、マカオ税関での手続きが不要となり、マカオ新通達検車センターで横琴区とマカオ共通の電子通行許可証を取得して車両に貼付し、その後、中国本土側の税関での車両登録と国境検査通行証の発行手続きを済ませれば、横琴口岸経由で横琴区との出入りが可能になる。

マカオ税関が発行した電子通行許可証を既に取得しているマカオナンバー車両も、当該許可証を取り外す必要はなく、「マカオ自動車の横琴出入資格確認書」の有効期限内であれば、従来どおり通行できる。また、8月15日以前に既にマカオ税関での通行許可証電子タグの貼付手続きの予約を取得済みのマカオナンバー車両所有者は、期日までに貼付を行うか、貼付しない場合も新スキーム開始後から横琴口岸経由で通行が認められる。

税関総署が8月11日にウェブサイト上で公表した内容によると、拱北税関に所属する横琴税関技術科の梁華振科長は今回の新スキームで導入する電子通行許可証について、「5月以来、延べ1万2,000回のテストを行い、現在の識別率は99%近くに達している」と明らかにした。テストに参加したマカオ住民は「従来のスキームと比べ、手続きに要する時間が3~4日ほど短縮された。電子通行許可証の識別スピードも速く、スムーズに通行できた」とコメントした。通行手続きの簡素化により、横琴区とマカオの一体化による発展推進の加速が期待される。

珠海出入境辺検査総ステーション横琴出入境検査所の統計では、2025年1月1日から6月25日午前10時(現地時間)までの期間に、従来の電子通行許可証による管理スキームを利用して横琴口岸を通行したマカオナンバー車両は延べ100万台を超え、前年よりも72日早く100万台超えを達成した。また、通行量は前年同期比46%増加した。同検査所の責任者は、新スキーム導入を受けて同通行車両数は2025年通年で初めて200万台を突破するとの見通しを示した(「央視新聞」6月26日)。

(注1)マカオのナンバープレートのみを保有するマカオの車両が、要件を満たす場合に横琴区への通行許可を申請できるスキーム。後述のとおり、中国本土側のナンバープレートを取得せずとも、電子タグが内蔵された通行許可証をフロントガラスに貼付することで、横琴区との間で車両出入りが可能となる。

(注2)広東省政府がマカオの企業に委託して設立した機関で、これまでマカオ住民向けに中国本土側の電子通行許可証を発行するなどの業務を担ってきた。

(陳昕)

(中国、マカオ)

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