広東省・マカオ深度合作区に免税措置を適用へ

(中国)

広州発

2022年02月17日

ジェトロは1月13日に、中国の横琴における広東省・マカオ深度合作区(以下、合作区)の管理委員会を訪問し、重点産業や優遇税制、日本企業のビジネスチャンスなどについてヒアリングした。管理委員会は、広東省政府とマカオ特別行政区政府の共同運営により2022年1月から正式に業務を開始した。トップ(主任)は、広東省長とマカオ行政長官が務める。

「分線管理」により海南自由貿易港並みの免税地区を目指す

合作区は、「マカオ経済の多様化を促進する新たなプラットフォーム」と位置付けられている(2021年9月29日記事参照)。その最も象徴的な制度が、合作区とマカオとの間の「一線」と、合作区と中国本土との間の「二線」による「分線管理」だ(添付地図参照)。

合作区経済発展局の張偉鋒副局長によると、「一線」をまたぐ、合作区とマカオ間の貨物の輸出入については、2022年末までにネガティブリスト制度を導入し、同リストの掲載品目以外は原則として免税・保税措置が適用される(人の出入境手続きは必要)。一方の「二線」をまたぐ貨物や人の移動については、同年末までに封関管理(注)を導入し、中国本土との貨物の出入りには関税は課されるが、人の出入りは自由となる。

また、合作区の企業所得税は15%、高度人材の個人所得税は15%と優遇税制が適用される。マカオと一体化したビジネス環境を整備しつつ、企業と人材誘致を本格化する。

このほか、非居住者向けの免税商品購入制度も検討中だ。1回の訪問につき1人当たり8,000元(約14万4,000円、1元=約18円)を上限に、年に何度でも免税購入できる枠組みが想定されている。1人当たり年間10万元の免税枠を設定した、海南自由貿易港の国内旅客向け離島免税制度とは制度設計が異なる。また、輸出入検疫制度についても、海南自由貿易港では基本的に中国本土と同じだが、合作区では中国本土より緩和される可能性もあるという。

合作区が位置する横琴島は、テーマパークなどレジャーや観光島としても期待されており、広東長隆グループが運営する世界最大規模の水族館(「珠海長隆海洋王国」、2014年にオープン)を皮切りに、建設中のナイトサファリパークに加え、その他多くの観光スポットが建設中、あるいは計画されている。張副局長は「完成の暁には観光客がさらに増え、観光・レジャー産業もこれまで以上に発展する。合作区が中国全土や世界から注目される消費の中心エリアになる」と強調。また、「対外開放度の高いマカオの特徴を生かした合作区を基点に、免税ビジネスを展開し、中国本土の巨大消費市場に積極的に参入してほしい」と、日本企業に対して期待を示した。

(注)封関管理:中国当局が指定した特定区域において、入境貨物を通関完了していない「保税貨物」として扱い、当該指定特定区域と中国本土との貨物の移出入を「輸出入」とみなし税関が管理すること。

(蘇丹娜)

(中国)

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