米相互関税、コートジボワールは4月発表から6ポイント低下の15%
(コートジボワール、ナイジェリア、カメルーン、ガーナ、セネガル、ガボン、ギニアビサウ、モーリタニア、リベリア、米国)
アビジャン発
2025年08月12日
米国のドナルド・トランプ大統領が7月31日に発表した「4月に発表した相互関税を修正する大統領令」によると(2025年8月1日記事参照)、コートジボワールに対する相互関税は15%となった。当初予定の21%から6ポイント引き下げられた。西アフリカ諸国では、ナイジェリア、カメルーン、ガーナも15%の相互関税となった。一方、7月9日に米ホワイトハウスで行われたトランプ大統領との首脳会談に参加したアフリカ5カ国(ガボン、ギニアビサウ、セネガル、モーリタニア、リベリア)などは(2025年7月24日記事参照)、4月に発表された10%のベースライン関税を維持することとなった。
米国通商代表部(USTR)によると、コートジボワールと米国の2024年の貿易規模は約16億ドルで、米国の対コートジボワール輸入が約10億ドル(前年比7.0%増)、対コートジボワール輸出が5億9,120万ドル(同16.2%増)で、輸出の伸びが輸入の伸びを上回った。その結果、米国の対コートジボワール貿易赤字は1,540万ドル縮小し、4億2,350万ドル(同3.5%減)になった。コートジボワールからの主な輸入産品はカカオ、カカオ加工品、天然ゴム、カシューナッツだ。
2025年4月にトランプ大統領が相互関税を発表したことを受けて、コートジボワール輸出機関が行った「トランプ大統領の関税政策がコートジボワールに与える影響の予備分析」によると、コートジボワールでは相互関税により、特に農業やアグロインダストリー関連の輸出業者が大きな打撃を受けるとみられ、米国への輸出量が大幅に減少する可能性があるという。影響を緩和する対策として、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の機会を活用した新たな市場開拓への注力や、一次産品の現地加工の促進による製品の多様化などを通じて、従来の市場への過度な依存を見直すことが挙げられた。
コートジボワールを含むサブサハラ・アフリカ諸国は2000年以降、米国が制定したアフリカ成長機会法(AGOA)に基づく1,800以上の品目に加えて、一般特恵関税制度(GSP)に基づく5,000以上の品目に対して、特恵待遇が供与されてきた。米国はコートジボワールにとって輸出総額の4.4%を占める第4位の輸出相手国(2024年)だが、今回の新たな関税措置で対米輸出への影響が懸念される。なお、AGOAの有効期限は9月30日で、議会が有効期間を更新するなどの立法措置を事前に講じない限り、失効する(2025年6月16日付地域・分析レポート参照)。
(渡辺久美子、橘欣子)
(コートジボワール、ナイジェリア、カメルーン、ガーナ、セネガル、ガボン、ギニアビサウ、モーリタニア、リベリア、米国)
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