オーストラリアVCのメインシークエンス・ベンチャーズ、日オーストラリア脱炭素企業と積極的に情報交換

(オーストラリア、日本)

シドニー発

2025年08月25日

オーストラリア政府系ベンチャーキャピタル(VC)ファンドのメインシークエンス・ベンチャーズは815日、大和証券、ジェトロとともに、日本とオーストラリアの脱炭素企業との交流会をシドニーで開催した。同社は、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)が国内の大学や研究機関の研究成果の商業化を支援するため、2017年に設立され、イノベーションと産学連携を推進している。

写真 メインシークエンスによる事業紹介(ジェトロ撮影)

メインシークエンスによる事業紹介(ジェトロ撮影)

オーストラリアでの脱炭素の取り組みは、2022年9月に制定された気候変動法に基づき、2030年までに2005年比で温室効果ガス(GHG)を43%削減、2050年までにネットゼロを達成することを目標としている。日本とオーストラリアは既に二酸化炭素(CO2)の回収・貯留(CCS)や回収・有効利用・貯留(CCUS)の分野で連携を深めており、日本企業が積極的に参入している(2024年4月8日付地域・分析レポート参照)。

交流会では「脱炭素」をキーワードに、両国の7社が事業内容をそれぞれ紹介し、今後の協力可能性を探った。オーストラリア側は、Presien〔人工知能(AI)活用〕、Facet Amtech(クリーンアンモニア製造)、MGA Thermal(エネルギー貯蔵)、Uluu(海藻ベースのバイオプラスチック技術)が登壇した。日本側は、日系企業プロテリアル外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますと日系スタートアップ企業プラネット・セイバーズ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどが参加した。プロテリアルは、電気自動車(EV)、あるいはエネルギー効率の高いシステム向け高性能材料を提供する事業を展開している。プラネット・セイバーズは、ゼオライトベースで吸着剤と回収装置を組み合わせて大気中からCO2を回収する事業を手掛けている。現地コーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)から日系スタートアップにも関心が寄せられ、個別面談を今後もつことになるなど、脱炭素分野では引き続き双方向で関心が高い状況が垣間見られた。登壇した7社に加え、日本から渡航した大学系VCの東京大学協創プラットフォーム開発(東大IPC)と早稲田大学ベンチャーズも出席した。

写真 交流会での登壇企業の事業説明(ジェトロ撮影)

交流会での登壇企業の事業説明(ジェトロ撮影)

メインシークエンスは「CSIRO発のディープテック分野に投資をしてきた実績があり、このような分野は日本企業の強みともシナジーがあると考えている。今後もこうした協業連携の機会創出を加速させたい」とコメントし、今後の進展に期待を寄せた。

(山崎美樹)

(オーストラリア、日本)

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