総選挙は2026年2月実施へ方針修正か、首席顧問と主要政党指導者が会談

(バングラデシュ)

ダッカ発

2025年06月16日

バングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問は6月13日、訪問中の英国ロンドンで、前政権時の野党・バングラデシュ民族主義党(BNP)のタリク・ラフマン議長代行と会談し、改革と司法手続きに関する取り組みが十分に進展すれば、総選挙をイスラム教の断食月(ラマダン)前の2026年2月第2週に実施できるだろうと述べた。ユヌス首席顧問は6月6日に行った演説で2026年4月の実施を発表していたが、早期実施を求める同党の主張に譲歩した(2025年6月9日記事参照)。

BNPのミルザ・ファクルル・イスラム・アラムギール幹事長はこの会談の後に声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを出し、「ラマダン前に総選挙を実施するという実りある合意は、バングラデシュ国民に安堵(あんど)と新たな希望をもたらし、不確実性を払拭した。ユヌス首席顧問の時宜にかなった現実的な決断は国民感情への理解を反映しており、間違いなく称賛に値する」と評価した。これに対し、2025年2月に学生が主導して設立した国民市民党(NCP)のサレ・ウディン・シファット共同幹事は「政府は選挙プロセスに関し、BNPの信頼を得ることに成功した。しかし、司法手続きと改革に関する議論が軽視されたことに落胆している。また、政府は総選挙について、特定政党の立場と要求のみを優先している」として、改革の優先を要求した。イスラム協会(JI)のアフサヌル・マフブーブ・ズバイル幹事長補佐も同様に、「総選挙の日程よりも、改革の実行が重要だ。改革が実施されない限り、われわれはファシズムへ逆戻りしてしまう」と発言している(「デーリー・スター」紙6月14日)。

タリク・ラフマン氏はベグム・カレダ・ジア元首相の息子で、2008年に亡命して以降、ロンドンに居住している。ジャハンギール・アラム・チョードリー内務担当顧問は6月12日に記者団の取材に応じ、同氏の帰国可能性について「彼はバングラデシュ国民だ。望めばいつでも帰国できる」と答えた。

(片岡一生)

(バングラデシュ)

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