鉄鋼関連の耐火材料扱う日系企業、新工場建設し、中国国内販売に注力
(中国、日本)
青島発
2025年08月20日
中国鉄鋼工業協会の発表によると、中国の2025年上半期の粗鋼生産量は前年同期比3.0%減の5億1,500万トンだった。生産量は2020年の10億6,500万トンをピークに(2022年1月25日記事参照)、減少傾向が続いており、2024年の世界シェアは53.3%と、前年比で若干低下した。
米国のトランプ政権の追加関税政策でも注目を集める鉄鋼だが、製造に欠かせない基幹材料がマグネシアカーボンレンガだ。高温炉の内側に貼ることで、溶鋼(溶けた鋼)による炉の腐食を防ぐ。山東省済南市でマグネシアカーボンレンガを製造する日系企業の済南魯東耐火材料は、2023年に合弁出資3社による経営期間延長を公表した。同社の呂仁祥董事兼副総経理と東風上和宏副総経理に、中国の鉄鋼産業の現状とこれまでの取り組み、今後の事業展開について聞いた(8月4日)。
(問)中国の鉄鋼産業の現状は。
(答)鉄鋼業界全体としては売り上げは伸びている。中国の粗鋼生産量は前年と同様、10億トンを超える見通しだ。鋼材の種類によって販売状況はさまざまだが、赤字の企業もあるようだ。
(問)貴社のこれまでの取り組み状況は。
(答)当社の中国側出資企業の済南マグネシアカーボンレンガ工場は1986年に設立した製鉄用のマグネシアカーボンレンガの製造に特化した耐火レンガメーカーだ。1995年に東京貿易マテリアルが出資し、2003年にJFE炉材(現在の品川リフラクトリーズ)が出資して、出資3社による合弁会社がスタートした。マグネシアカーボンレンガを主力商品として、耐火コンクリートや補修材も製造販売している。
取引先は中国国内が約60社、そのほかは日本が8割程度を占めるが、南アフリカ共和国や米国、カナダ、ロシア、オーストラリア、ベトナムなどの20社以上と取引している。2024年の売り上げは輸出が50%程度を占めたが、徐々に中国国内販売の割合が高まっている。
(問)今後の展開は。
(答)現在、中国国内で新工場を建設しており、中国国内での製造販売に注力していきたい。海外については、日本との取引をこれまでと同様に安定的に進めること、次に欧州への展開を検討したい。
マグネシアカーボンレンガのサンプル(ジェトロ撮影)
(皆川幸夫)
(中国、日本)
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