2021年の粗鋼生産量、6年ぶりに前年比で減少

(中国)

上海発

2022年01月25日

中国鋼鉄工業協会は1月17日、2021年の中国の鉄鋼生産概況を発表した。粗鋼生産量は前年比3.0%減の10億3,300万トンと、2015年以来6年ぶりにマイナスに転じた。鋼材生産量は0.6%増の13億3,700万トンだった。

2021年の鉄鋼生産について、中国工業情報化部の呂桂新・一級巡視員は「上半期では新型コロナウイルス感染収束後の経済の急速な回復の延長線上で、鋼材市場は生産・販売ともに好調だったが、下半期は需要の収縮や経済の下振れに、鋼材の生産能力・生産量、輸出抑制策の実施が加わり、粗鋼生産量の大幅な減少につながった」と分析した。

なお、政府系シンクタンクの冶金工業規画研究院が2021年末に発表した予測によると、2022年の鋼材需要は前年比0.7%減の9億4,700万トン。鋼材消費量や輸出動向の分析に基づく2022年の粗鋼生産量の予測値は10億1,700万トンと、2021年の予測値(10億4,000万トン)に比べ2.2%減となり、2年連続の減少が見込まれるとしている。

中国鋼鉄工業協会によると、鋼材生産量が減少した一方、2021年の中国の鋼材輸出は前年比24.6%増の6,690万トンと、2016年以来5年ぶりに増加に転じた。輸入は29.5%減の1,427万トンだった。2021年12月の鋼材輸出平均単価はトン当たり1,688ドルで、輸入平均単価の1,549ドルを上回った。輸出平均単価が輸入平均単価を上回るのは2021年8月以降5カ月連続で、中国鋼鉄工業協会は、中国の鋼材貿易の構造が引き続き改善していると指摘した。

(劉元森)

(中国)

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