トランプ米政権の気候変動対策は不十分と半数が回答、世論調査
(米国)
調査部米州課
2025年08月01日
米国のトランプ政権で、温室効果ガス(GHG)排出が人命を脅かすという環境保護庁(EPA)の判断を覆そうとする動きがある(2025年7月30日記事参照)。最近の世論調査では、半数がトランプ政権の気候変動対策が不十分と回答した。
経済誌「エコノミスト」と調査会社ユーガブは7月30日、トランプ政権などに関する世論調査結果(注1)を発表した。それによると、トランプ政権の気候変動対策について、半数(50%)が「不十分」としている。「妥当」20%、「過剰」17%だった。「過剰」の回答は、バイデン前政権時(2023年26%、2024年25%)より減少した。
GHG排出規制の「拡大」(37%)を望む割合は、「縮小・撤廃」(24%)を上回った。「現状維持」は21%だった。
EPAなど環境関連の政府機関についても、「縮小・撤廃」より「拡大」を望む割合が多かった。詳細は次のとおり。
- 環境保護庁(EPA):「拡大」39%、「縮小・撤廃」23%
- 連邦緊急事態管理庁(FEMA):「拡大」41%、「縮小・撤廃」17%
- 国立公園局(NPS):「拡大」35%、「縮小・撤廃」10%
経済冷え込みの実感は薄く
マサチューセッツ州ボストンのエマーソン大学が7月に実施した世論調査(注2)では、経済状況について、1年前と比較して「悪化した」が37%、「改善した」が32%、「ほぼ同じ」が31%と意見が分かれた。4月の調査と比較すると、「悪化した」が7ポイント減少し、「改善した」が8ポイント上昇した。
バンク・オブ・アメリカ研究所が7月10日に発表した消費者行動に関する調査結果の同行カード集計データによると、6月の世帯当たりクレジットカード、デビットカード支出は前年同月比0.2%増となったが、5月(0.8%増)から減少した。世帯当たり支出(季節調整済み)は6月に前月比0.3%増で、4月分(0.2%減)と5月分(0.7%減)を部分的に相殺したにすぎないとしている。
同研究所のリズ・エベレット・クリスバーグ所長は「今、消費者の体温について問われれば、私は『冷え込んではいるが、凍り付いてはいない。崩壊しているわけではない』と答えるだろう」と述べた(「ウォールストリート・ジャーナル」紙7月30日)。
(注1)実施時期は7月25~28日、対象者は全米の成人1,777人。
(注2)実施時期は7月21~22日、対象者は全米の登録有権者1,400人。
(松岡智恵子)
(米国)
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