持続可能なカカオ産業の実現に向けJICA・企業が取り組みを紹介

(日本)

企画部企画課

2025年08月22日

国際協力機構(JICA)は8月10日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のテーマウィークイベントとして、「チョコレートを美味(おい)しく食べ続けるために、私たちができること」と題した対話型イベント外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。本イベントは、JICAが事務局を務める「サステイナブル・カカオ・プラットフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注)の一環として、チョコレート製造を手掛ける企業と高校生が、カカオ産業が抱える児童労働や貧困、環境問題などの課題や取り組みを説明する場となった。

JICAガバナンス・平和構築部ガバナンスグループ法・司法チームの琴浦容子課長は、日本のカカオ輸入の主要相手国であるガーナにおいて、JICAが、現地政府に対する児童労働フリーゾーン認証制度外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの設計支援や人材育成を進めていることを紹介した。明治カカオマーケティング部CXSグループの晴山健史氏は、カカオの品質や持続可能性の向上を目的とした「メイジ・カカオ・サポート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の取り組みの中で、生産地における児童労働などの対策として定量目標を掲げ、カカオ豆調達分に関し、97.7%のトレーサビリティを確立したことなどの実績を紹介した。ロッテサステナビリティ推進部企画課の飯田智晴課長は、児童労働や森林破壊の有無を確認しながらカカオ豆を調達していることや、生産地における親世代への啓発やインフラ整備を通じて、児童労働の世代間連鎖を断ち切る取り組みを実施していると紹介した。不二製油営業部門営業戦略室CSV推進課の後藤愛課長は、持続可能なカカオ生産および農家を支援する「サステナブル・オリジン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を紹介するとともに、一企業でできることには限りがあり、チョコレートを購入する際、消費者に生産者のことを思い浮かべていただくことも重要と指摘した。

イベントでは、大阪府の高校生グループによるカカオ産業を取り巻く課題調査学習の成果発表として、農閑期のカカオアップサイクル事業と、営農指導と出張授業を組み合わせた支援事業の提案が行われた。高校生のプレゼンテーションに対し、JICAおよび各企業の代表者からは、読み書きや計算ができず、市場でだまされてしまうカカオ農家が実在することや、現地で事業を実施する際は、企業から生産者へ価値観の押し付けにならないよう、現地の文化理解やコミュニケーションが重要となる、などのコメントが寄せられた。

写真 イベント参加者(ジェトロ撮影)

イベント参加者(ジェトロ撮影)

(注)開発途上国において、農園での児童労働や農家の貧困、森林破壊などの課題を解決し、持続可能なカカオ産業の実現を目指すプラットフォーム。75の企業・団体会員と143の個人会員(2025年7月時点)が参加し、会員間の情報や経験の共有や協働の促進、国内外への情報発信に取り組んでいる。

(柏瀬あすか)

(日本)

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