イスラエル安全保障閣議は停戦案を議論せず、ナセル病院攻撃に国連が強く非難
(イスラエル、パレスチナ)
テルアビブ発
2025年08月28日
イスラエルで8月26日に安全保障閣議が開催されたが、「タイムズ・オブ・イスラエル」紙(8月26日)によると、ハマスが受け入れた60日間の停戦案(2025年8月19日記事参照)や段階的な人質解放案は議論されなかったもようだ。安全保障閣議は8月8日にパレスチナ自治区ガザ地区のガザ市掌握に向けた軍事作戦の準備を進める方針を決定しており(2025年8月12日記事参照)、イスラエル政府は方針を変えず、ガザ市での攻勢を拡大し、ハマスに包括的合意を受け入れさせる圧力を強化しているという。
イスラエル各地では8月26日、「闘争の日」としたイスラエル政府に対する抗議行動が展開され、主要道路の封鎖やストライキが実施された。同日夜にテルアビブの「人質広場」で大規模集会が開かれ、約35万人が参加したという(8月26日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙)。
テルアビブの中心部で行われたデモ(ジェトロ撮影)
一方、イスラエル国防軍(IDF)は8月25日、ガザ地区南部ハンユニスにあるナセル病院を攻撃しており、少なくも20人が死亡し、5人のジャーナリストが含まれていたという(8月25日付「タイムズ・オブ・イスラエル」紙)。イスラエル首相府は同日に声明を発表し、「イスラエルはナセル病院で発生した悲劇的な事故を深く遺憾に思う」と述べ、軍当局が「徹底的な調査を進めている」とした。
これに対し、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は同日、ナセル病院への攻撃を「強く非難する」との声明を発表し、「迅速かつ公平な調査」を求めるとともに、「即時かつ恒久的な停戦」「ガザ全域への人道支援の自由なアクセス」「全ての人質の即時かつ無条件の解放」をあらためて呼びかけた。
イスラエルとハマスの衝突の詳細についてはジェトロの特集を参照。
(中溝丘、テヒラ・シャラビー)
(イスラエル、パレスチナ)
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