メキシコの上半期貿易はトランプ関税下でも堅調に推移
(メキシコ、米国、中南米、ASEAN)
調査部米州課
2025年08月14日
メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)が7月28日に発表した貿易統計によると、2025年上半期(1~6月)のメキシコの輸出額は前年同期比4.4%増の3,127億2,800万ドル、輸入額は0.2%増の3,112億9,600万ドルと、14億3,300万ドルの貿易黒字だった。6月単月でみると、輸出額は前年同月比10.6%増、輸入額は4.4%増となり、特に輸出が好調だった。
2025年上半期の輸出額を品目別でみると(添付資料表1参照)、農林水産・畜産品は前年同期比7.7%減の122億3,800万ドル、鉱産品は12.7%減の174億6,400万ドルだった。一方で、輸出額の90.5%を占める工業製品・同部品は6.2%増と好調だった。鉱産品の中では、石油公社(PEMEX)による生産縮小が続く原油が24.8%減と大きく減少した。製造業全体では輸出が拡大したものの、米国の1962年通商拡大法232条に基づく追加関税25%の対象となっている自動車・同部品は4.0%減で、米国向けに絞ると3.5%減となった。ただ、単月でみると、自動車・同部品の輸出額は4月と5月で前年同月比マイナスだったものの、6月は4.5%増となっており、若干の回復が見られる。
輸入額は、消費財が前年同期比8.8%減の443億3,300万ドル、中間財が3.6%増の2,396億300万ドル、資本財が11.0%減の273億6,000万ドルだった。
輸出を国・地域別にみると(添付資料表2参照)、全体の83.4%を占める米国向けが前年同期比4.9%増の2,608億200万ドルと拡大した。米国側の貿易統計でも、米国国勢調査局が8月5日に行った発表によれば、米国の2025年上半期におけるメキシコからの輸入は前年同期比6.3%増加している。2025年1月に発足した米国トランプ政権による追加関税の影響下においても、最大の貿易相手国である米国向けの輸出は堅調に推移する結果となった。輸入では、米国(5.9%減)やカナダ(7.8%減)からの輸入額が縮小した一方、中国(2.6%増)やASEAN(20.9%増)からの輸入が伸びた。ASEANの中でも、特にベトナム(30.5%増)やシンガポール(25.0%増)からの輸入増加が目立った。
2025年下半期については、7月31日に発表された米国の対メキシコ追加関税率の引き上げ延期(2025年8月1日記事参照)や米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しに向けた動きなど、最大の貿易相手国である米国との関係が注目される(注)。
(注)1962年通商拡大法232条に基づく追加関税の対象となっている自動車(完成車)と鉄鋼・アルミニウム製品以外は、USMCAの原産品であれば米国トランプ政権による追加関税の適用対象外となっている(詳しくはこちらの資料を参照(0.0B))。
(加藤遥平)
(メキシコ、米国、中南米、ASEAN)
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