タイヤ大手の賽輪集団、メキシコ工場とインドネシア工場を相次いで稼働

(中国、メキシコ、インドネシア)

上海発

2025年06月09日

上海証券取引所に上場している中国の自動車タイヤメーカー大手の賽輪集団(SAILUN)は5月29日(現地時間)、メキシコに建設した半鋼ラジアルタイヤ(注)の生産拠点が稼働したと発表した。グローバル戦略推進の一環として重要な役割を担う北米エリアで初の生産拠点となる。同社は生産現地化を強化することで、これまで以上に世界の重要自動車市場である北米市場に製品を提供することにつながると期待している。

賽輪集団が2023年12月に発表した投資計画では、メキシコ工場の総投資額は2億4,000万ドルで、シンガポールに所在する完全子会社(出資比率51%)がメキシコに所在するTDインターナショナル・ホールディングス(同49%)と共同で建設すると発表していた。工場の年間生産能力は半鋼ラジアルタイヤ600万本で、今後は全鋼ラジアルタイヤも165万本生産する見込みだという。

また、同社は5月28日(現地時間)、インドネシアに建設した乗用車向けのラジアルタイヤ工場を稼働させたと発表した。東南アジアで4番目の生産拠点として、年産能力はラジアルタイヤ360万本、オフロードタイヤ3万7,000トンを目指す。インドネシアでは自動車市場が急速に拡大しており、タイヤの需要は旺盛だ。また、タイヤの原料となる天然ゴムの生産量が多く、利便性の高い港があることから、高品質の原材料確保と物流効率化を図ることができるという。

賽輪集団の決算報告によると、2024年度の売上高は318億元(約6,360億円、1元=約20円)で、世界タイヤメーカーランキングで10位に入った。世界各地には研究開発(R&D)センター4カ所、生産拠点10カ所(建設中の工場を含む)を配置し、海外進出を加速させる中国完成車メーカーを追うように、現地生産拠点の最適化を図っている。

(注)ラジアルタイヤとは、タイヤの骨格を形成する「カーカス」を中心から放射線状に配置し、その上からベルトで補強しているタイヤを指す。半鋼ラジアルタイヤは、カーカスがスチール製とポリエステル製の複合構造になっており、通常のラジアルタイヤより性能が高いことが特徴。

(劉元森)

(中国、メキシコ、インドネシア)

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