米フォード、EV関連でケンタッキー州などで約50億ドル投資発表

(米国)

シカゴ発

2025年08月15日

米国フォードは8月12日、同国内に約50億ドルを投資し、新たな電気自動車(EV)プラットフォームを採用した中型EVピックアップトラックの生産と、プリズム型LFPバッテリー(注1)を製造すると発表した。発表によると、約50億ドルのうち約20億ドルは、中型EVピックアップトラック生産のため、ケンタッキー州ルイビルの組立工場の拡張やインフラ設備に投ずる。約30億ドルは、ミシガン州のブルーオーバルバッテリーパークでの新型のプリズム型LFPバッテリーの製造に投ずる見込みだ。2026年に開始するとしている。2つの施設への投資で約4,000人の雇用が維持・創出される見込みだ。

同社によると、乗用車からピックアップトラックまで幅広く使用可能な「フォード・ユニバーサルEVプラットフォーム」の採用により、一般的な車両と比較して、部品点数が20%減、締結具が25%減、工場内の作業ステーションが40%減、組み立て時間が15%短縮されるという。これにより、手頃な価格の車両を大規模に製造することが可能となり、同プラットフォームを最初に採用した製品として、2027年に中型EVピックアップトラックが販売開始となる予定だ。この目標価格は約3万ドルで、これは米国で販売されている2025年型中型ピックアップトラック(ガソリン車)と比較しても、最も手頃なカテゴリーに入る。

フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は今回の発表に先立ち、7月30日に行われた2025年第2四半期(4~6月)決算発表で「グローバルで中国企業とEVで効果的に競争する唯一の方法は、エンジニアリングのサプライチェーンと製造プロセスを根本から再設計し、変革することだと信じている」とし、新プラットフォームと製品の発表を予告していた。

トランプ政権の政策によってEV普及・促進策が撤廃され(2025年7月15日記事参照)、EVの売り上げペースが鈍化する中(注2)、フォードやGMなどの大手メーカーは長期的でグローバルな戦略として、EV開発を継続している。

(注1)プリズム型は長方形の電池で、電極とセパレーターを積み重ねた構造。LFPバッテリーとは、正極材をリチウム、鉄、リンで構成する、リン酸鉄リチウムイオンバッテリー。

(注2)コックス・オートモティブの調査によると、2025年第2四半期(4~6月)のEVの新車販売台数は前年同期比6.3%減。EVの新車販売台数は31万839台で、前年同期の33万1,853台から減少した。

(星野香織)

(米国)

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