英政府、陸上風力発電の拡大に向けた戦略を発表
(英国)
ロンドン発
2025年07月11日
英国政府は7月4日、陸上風力タスクフォース戦略を発表した。労働党は政権獲得直後の2024年7月に陸上風力発電所の新設の実質禁止を撤廃し(2024年7月18日記事参照)、12月に公表したクリーンパワー2030年アクションプランの中でも2030年までに最大29ギガワット(GW)の発電容量を整備することを目標としている。今回の戦略では、目標の実現に向け、政府と産業界がとる40以上の措置を定めている。主な措置は次のとおり。
- 陸上風力に適した用地の特定を支援するデータツールを検討。用地の評価にあたっての透明性向上と地方計画当局などの関与を促進。
- 2016年に除外されていた国家重要インフラ計画制度に再導入し、迅速な承認決定を実施。一方で、タービンの大規模化などを踏まえ、地域レベルの計画承認手続きで可とする容量を50メガワット(MW)から100MWに引き上げ。
- 陸上風力タービンと航空および防衛インフラとの共存に関する課題解決を図る。発電設備の設置計画に対する両分野からの反対意見に関する調査などを実施。
- ガイダンス策定を通じ既存の古いタービンの更新を支援。
- 陸上風力プロジェクトでの人員配置や優先順位付けができるデータツールの開発や陸上風力に関するトレーニングの提供など、必要なツールを提供し計画承認を加速。
- 陸上風力発電へのクリーン産業ボーナス(2025年5月19日記事参照)の拡大を検討。
また、英国政府は、本戦略の実施を監督し、さらなる行動をとるために新たな陸上風力協議会を設立。協議会を通じ、プロジェクトのパイプラインや主要業績指標、関連産業に影響する経済面、ファイナンス面での要因をモニタリングするとしている。
洋上風力発電では大規模発電所の開発を承認
風力発電に関連して、政府は7月4日、アイリッシュ海最大となるモナ洋上風力発電所の開発を承認したことを発表した。発電容量は約1.5GWで、英国のBPとドイツのEnBWが開発主体となる。
(バリオ純枝)
(英国)
ビジネス短信 fec652682ebfcdad