英政府、洋上風力への財政支出拡大とギガファクトリー投資への支援策を発表

(英国)

ロンドン発

2025年05月19日

英国政府は5月9日、再生可能エネルギー(再エネ)と電気自動車(EV)関連の支援策を相次いで発表した。

まず、再エネ分野において、サプライチェーンへの投資を行う企業に対し追加支援を行うクリーン産業ボーナス(CIB)の予算を当初の2億ポンドから5億4,400万ポンド(約1,055億円、1ポンド=約194円)に増額する。CIBへの申請が想定を大きく上回ったことを受けたとしている。洋上風力発電開発事業者に対する財政支援を提供するもので、伝統的な石油・ガス地域、旧来の工業地域、港湾・沿岸都市など洋上風力の投資を最も必要としている地域や、よりクリーンなサプライチェーンへの投資を優先することが条件となっている。これにより、英国の産業地域や沿岸地域で新しい工場や港湾インフラが整備されると同時に、高度な技能職が増加することが期待されている。英国政府はこれに先立つ4月24日にも、グレート・ブリティッシュ・エナジー(GBE)を通じて3億ポンドを洋上風力のサプライチェーンに投資することを発表していた(2025年5月1日記事参照)。

また、5月15日には、GBEの設立に関する法案が議会で可決されたことを発表した。今後、GBEが注力する技術など戦略的な優先事項を発表するとしている。

自動車産業に関しては、中国の再エネ開発大手エンビジョングループ傘下のバッテリー企業AESCが、サンダーランドでのギガファクトリー建設および運転に10億ポンドを投資することを発表した。政府は、金融機関からの融資6億8,000万ポンド分に対し、ナショナル・ウエルス・ファンド(NWF、2024年7月18日記事参照)と英国輸出信用保証局(UKEF)を通じ保証を提供。残りの3億2,000万ポンドは、AESCによるエクイティ(新株発行を通じた資金調達)や民間資金となっている。これに加え、自動車変革基金(ATF)からも助成金として1億5,000万ポンドを提供する。政府によれば、今回建設予定のギガファクトリーで年間10万台のEV向けのバッテリーを製造できるとしている。

(バリオ純枝)

(英国)

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