在ロ日系企業の景況感が大幅悪化、高金利が重しに、ジェトロ調査

(ロシア、日本)

調査部欧州課

2025年07月24日

在ロシア日系企業の景況感が悪化している。ジェトロが6月4日から20日にかけて、モスクワ・ジャパンクラブに加盟する123社・団体を対象に、景況感に関するアンケートを実施したところ(注1)、最近の自社の景況DI(注2)は2025年2月の前回調査と比べ、18ポイント減と大きく低下した(添付資料図参照)。

直近の過去2回の調査でDIは前回比で上昇し、全体的には緩やかな回復傾向がみられていた。今回の調査では、景況感を「悪い」「さほど良くない」とした回答のうち、複数の企業が政策金利の高さを指摘した。ロシア中央銀行が6月に利下げを決定したものの(2025年6月13日記事参照)、金利は依然として高い水準にあり、企業活動の重しとなっている。

金利の障壁以外には、米国との対話再開を受けて消費者の間で西側ブランドがロシア市場に戻ってくるのではないかとの期待感が膨らんでいるため、特に耐久消費財などで「買い控えが起こっている」とのコメントもみられた。

今後1~2年のロシアでの事業展開の見通しを聞いたところ、7割以上の企業が「維持」と回答した。「維持」の中には「状況によっては、縮小もしくは撤退の可能性も否定できない」「当面は戦争継続が前提なら、事業規模の拡大、成長は難しい」といったコメントが含まれ、維持が事業継続に前向きと必ずしも言えないものの、維持の割合は2024年5月の調査以降、一貫して拡大している。ウクライナとの停戦合意や紛争終結を前提に「拡大」と回答した企業もわずかながらあった。

(注1)回答企業・団体数50、有効回答率40.7%。

(注2)景気動向指数:ディフュージョンインデックス(Diffusion Index)の略。景況DIは、「良い」と回答した企業の比率から「悪い」とした比率を引いた数値。

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