関税引き上げ延期の影響で米西海岸の6月の貨物量は過去最高を記録
(米国)
ロサンゼルス発
2025年07月17日
米国のロサンゼルス港は7月14日、2025年6月の貨物取扱量(注)を発表した。6月の同港での貨物取扱量は89万2,340TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、前年同月比で8%増加した。6月としては過去最高となっている。同港の取扱量は2025年4月まで10カ月連続で前年同月比増を記録するなど堅調に推移したが、5月は前年同月比で減少に転じていた(2025年6月17日記事参照)。こうした中で、6月の取扱量は前月比で32%と大きく増加している。
同港のジーン・セロカ事務局長は「一部の輸入業者は関税が引き上げられる可能性に備えて、年末商戦向けの貨物を前倒しで輸入している。業者やメーカーが例年より早めに発注し、その後の貿易の不確実性に備えるため、7月はピークシーズンになる可能性がある」との見解を述べている。他方で、関税引き上げ停止期間後の8月については、米国の輸入業者にとってコストが増加し、取扱量は減少するとの見通しを示している。
「CNBC」紙(電子版7月14日)の米国物流企業C.H.ロビンソンに対するインタビューによると、企業の対応について「関税期限に間に合うよう出荷を急いだ荷主もいれば、通常のピークシーズンのスケジュールを維持し、様子見姿勢を続けた荷主も多い。最近の関税引き上げの期限延長で約1カ月の猶予ができたものの、平均20~30日かかる海上輸送にとっては十分な時間ではない」とコメントしている。
(注)貨物輸入量と貨物輸出量、空コンテナ取扱量の合計値。
(堀永卓弘)
(米国)
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