米西海岸の5月の貨物量は関税の影響で減少、足元では運賃急騰
(米国)
ロサンゼルス発
2025年06月17日
米国のロサンゼルス港は6月13日、5月の貨物取扱量(注)を発表した。貨物取扱量は2025年4月まで10カ月連続で前年同月比増を記録するなど、堅調に推移(2025年5月21日記事参照)していたが、関税の影響によって輸出量・輸入量ともに減少し、5月の取扱量は71万6,610TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算)となり、前年同月比で5%減少した。ロサンゼルス港湾局によると、5月は通常、ピークシーズンに近づいていくため、4月よりも取扱量が多くなる。しかし、輸入量は前月比で19%減少した。
同港のジーン・セロカ事務局長は「長期的かつ包括的な貿易協定が早期に締結されない限り、年末商戦期には価格が上昇し、品ぞろえが減少する可能性がある。急速に変化する関税政策によって生じる不確実性は、消費者、企業、労働者に苦境をもたらしている」とコメントした。また、セロカ氏とともに会見に同席したイェール大学バジェット・ラボのアーニー・テデスキ氏は「関税により平均価格が1.5%上昇し、1世帯当たり年間約2,500ドルの購買力低下につながるだろう。しかし、その影響は全ての世帯や製品で同じではなく、低所得世帯は高所得世帯よりも大きな打撃を受け、靴や衣料品、家電製品など、輸入される可能性が高い製品は2桁の価格上昇が見込まれる」と述べている。
一方、現在、相互関税率の引き上げが一時停止していることもあり、停止期限の7、8月の前に米国への貨物輸送が集中していることを受けて、足元ではコンテナ運賃が急騰している。国際物流プラットフォームのフレイトスの分析(6月10日)によると、アジアから米国西海岸向けのコンテナ運賃は6月1日時点で1FEU(1FEUは40フィートコンテナ換算)当たり5,488ドルと、前週比で倍増している。足元ではさらに上昇し、1FEU当たり6,000ドルを超え、この水準は、紅海で続いた船舶への攻撃や、米国の港湾労働者のストライキなどの影響を受けた1年前とほとんど同水準となっている。運送業者は6月中旬から7月にかけて、さらに1,000~3,000ドルの運賃上げを計画しているという。
(注)貨物輸入量と貨物輸出量、空コンテナ取扱量の合計値。
(堀永卓弘)
(米国)
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