トランプ関税の影響でEC販売にも買い控えの傾向、米消費者調査
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月03日
米国の電子商取引(EC)市場は順調に成長してきたが、トランプ関税と貿易を巡る景気の不透明感が消費者の購買行動に変化をもたらしている。米コンサルティング企業アリックス・パートナーズは7月1日、全米の成人1,100人を対象に2025年5月末から6月上旬に実施した、消費者の宅配利用状況に関する調査結果を発表した。これによると、オンライン購入が主要カテゴリー全体で前年比2桁台の減少を記録した。商品カテゴリー別にみると、事務用品が前年比14%減と最も大幅な減少となった。そのほか、スポーツ用品は12%減、家具、化粧品、大型家電製品はそれぞれ10%減となった。食料品は例外的に、横ばいで推移した。
消費者の購買行動に変化をもたらしている要因は関税に関連するもので、34%が「関税コストが明確になるまで購入を先送りする」と回答した。「過去6カ月の間に、余分な関税関連コストを避けるために、予定よりも購入を前倒しした」が28%、「海外から直送されるオンライン購入を減らした、または延期した」が22%だった。購入の前倒しもある一方、関税コストを忌避して買い控える姿勢がより目立った。
同社の小売り部門のパートナーであるクリス・コンシダイン氏は、「関税に対する消費者の懸念の高まりが、明らかに購買決定に影響を与えている」「これは、オンライン販売の成長が、10年以上ぶりに大幅に鈍化したことを示している」と指摘した。
足元では、5月の小売売上高が1月以来の大幅な減少となり、3~4月にみられた関税による駆け込み需要の反動減やその後の買い控え姿勢が色濃く反映された状況になっている(2025年6月18日記事参照)。加えて、財消費のみならず、これまで比較的底堅く推移してきたサービス消費の一部にも減少がみられ、5月の個人消費支出(2025年7月1日記事参照)もマイナスとなるなど、個人消費の先行きに不透明感が高まっている。
(樫葉さくら)
(米国)
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