日エジプトビジネス・投資環境セミナー開催、投資・貿易相がエジプトの取り組み紹介

(エジプト、日本)

調査部中東アフリカ課

2025年07月29日

ジェトロは724日、「日エジプトビジネス・投資環境セミナー」を開催した。エジプト投資・フリーゾーン庁(GAFI)とエジプト・日本経済委員会(EJBC)、在日エジプト大使館商務部、エジプト商務庁(ECS)と共催し、両国の政府や企業関係者ら185人が参加した。

エジプトのハッサン・ハティブ投資・貿易相は「エジプトの経済情勢」をテーマに基調講演を行った。同氏は、エジプトが2011年の「アラブの春」で停滞した経済を変革するため、過去10年間でインフラ分野に5,500億ドル規模の投資を行ったと述べた。また、債務残高の対GDP比が高く、民間セクターの投資参画度が低いといった課題を解決し、投資先としての競争力を上げるため、20243月に変動相場制を導入したこと(2024年3月25日記事参照)や、企業への減税、デジタル化による税務手続きの簡素化、通関日数の短縮といった取り組みを行っていると説明した。ビジネス環境の魅力については、大きな労働人口や、欧州、中東・アフリカへのアクセスが容易な地理的優位性、スエズ運河フリーゾーンなどを紹介した。併せて、GAFIが日本企業向け対応窓口「ジャパンデスク」を設けていることにも言及し、日本企業にエジプトへの投資を呼びかけるとともに、2024年に8億ドルだった両国の貿易額を23倍に増加させたいという期待を語った。

写真 基調講演を行うハッサン・ハティブ投資貿易相(ジェトロ撮影)

基調講演を行うハッサン・ハティブ投資貿易相(ジェトロ撮影)

ジェトロ・カイロ事務所の西澤成世所長は「日本企業が投資する際の視点」というテーマで、進出事例などについてプレゼンテーションを行った。日産自動車が現地での生産台数シェア首位ということや、住友電装が3都市で自動車部品のワイヤーハーネスを製造し、東洋一通商が現地家電大手エルアラビと共同出資するガラス工場も7月に稼働が開始したこと(2025年7月16日記事参照)などを紹介した。

「ナイル川から日本へ:経済回廊の戦略的パートナシップ」をテーマにしたパネルディスカッションでは、GAFIのホッサム・ヘイバ長官が日本企業にジャパンデスク活用や持続可能な投資を呼びかけるとともに、再エネ分野のビジネスチャンスの多さを強調した。パネルディスカッションに登壇したJTインターナショナル、三井物産、YKK、ナイルインターナショナルはエジプトへの進出理由や、ビジネスの課題とその対応などについて意見交換を行った。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(久保田夏帆、井澤壌士)

(エジプト、日本)

ビジネス短信 e7062dbb4419c9bc