北京国際図書博覧会が開催、日本の出版物も関心集める

(中国)

北京発

2025年07月07日

中国最大級の書籍見本市「第31回北京国際図書博覧会」(BIBF、注1)が6月18~22日、北京市の中国国家会議中心で開催された。展示会場は約6万平方メートル、対象分野は書籍、デジタル出版、コンテンツ、AI(人工知能)などで、中国の出版社をはじめ世界各国の出版社が出展し、活発な取引が行われた。主催者の発表によると、今回の同博覧会には80カ国・地域から1,700社が出展し、約22万冊の書籍が出品され、会期中は業界関係者から一般来場者まで延べ30万人が訪れた。

ジェトロは、日本の出版関連企業の販路開拓を目的とし、出版取次のトーハンと共同で「特別テーマ展示エリア」を設け、児童書(絵本)を展示した。China Japan Street事業(CJS)のオンラインカタログを含めて日本出版物の魅力を広く発信した。

ジャパンパビリオンを訪れた来館者に、書籍の購入状況とAI生成作品について聞いたところ、うち半数以上は毎月1~3冊程度の書籍を読む習慣があり、書籍の購入ルートとしてはEC(電子商取引)サイトを挙げる人が最も多く、次いで書店が多かった。また、日本の書籍に関しては、特に漫画や小説に関心を持つ読者が多かった。

中国では昨今、AIを活用してさまざまな領域で作品を創作する事例が相次いで見られる。AIが生成した小説や漫画について、来館者の多くが関心を示したほか、実際に自らAIを活用して作品を創作した経験があるとの声も聞かれた。

会場では、主催者が設置した「ネット出版館」において、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、AIなどの最新技術の出版分野への応用や、中国のゲーム・ネット文学(注2)の海外展開の成果が紹介された。出版コンテンツと映像、アニメ、ゲームの融合による「新時代の読書体験」が力強く発信された。

写真 ジェトロブースの様子(ジェトロ撮影)

ジェトロブースの様子(ジェトロ撮影)

写真 商談の様子(ジェトロ撮影)

商談の様子(ジェトロ撮影)

(注1)北京国際図書博覧会は、1986年から開催されている中国最大級の書籍見本市。

(注2)インターネットを通じて発表される文学作品のことを指す。

(兪思珂)

(中国)

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