米半導体大手ウルフスピード、破産法第11章の適用申請

(米国)

アトランタ発

2025年07月03日

米国ノースカロライナ州の半導体企業ウルフスピードは6月30日、米連邦破産法第11章(Chapter 11、日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同社は6月22日、主要債権者と総債務の約70%に当たる約46億ドルの債務削減などを行う再編支援契約(RSA)を締結し、近日中に破産法の適用申請を行うと発表していた(2025年6月26日記事参照)。2025年第3四半期末(9月末)までに、一連の再建プロセスを完了する見込みだ。

発表によると、同社は2025年度第3四半期時点で約13億ドルの現金を保有し、顧客へのサポートと取引先への通常どおりの支払いに十分な短期流動性を確保している。再建プロセスに関する特設サイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、Q&A形式で顧客に提供するソリューションの品質や供給には何ら影響がないこと、取引先への支払いは、オール・トレード・モーション(注1)に基づき、通常どおり行う予定であることが説明されている。

ウルフスピードは、シリコンカーバイド(SiC、注2)材料やデバイスの製造大手だが、同社製品が使われる電気自動車(EV)の需要低迷や経営陣の異動、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に関する不確実性といった課題に直面していた(ビジネスジャーナル6月23日)。創業者の1人であるジョン・エドモンド博士は6月26日、米CBS系列局のWKTVに対し、破産申請の理由に関して「EV市場の成長率を約40%と予想していたが、実際には18~19%程度だ。われわれはあまりに急激に、そして大規模に施設を建設してしまった」と述べた。

(注1)債務者による、通常の業務プロセスにおける破産申し立て前取引債権の支払いを認める命令を求める緊急申し立て。

(注2)従来のパワー半導体材料のシリコン(Si)と比較して省エネ性能に優れ、次世代のパワー半導体材料の1つとされる。

(横山華子)

(米国)

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