ロシア政府がタリバン暫定政権を承認、エネルギーや輸送などで協力強化へ
(ロシア、アフガニスタン)
調査部欧州課
2025年07月09日
ロシア政府は7月3日、アフガニスタンで実権を掌握しているタリバン暫定政権の「アフガニスタン・イスラム首長国」を正式に承認したと明らかにした。ザミル・カブロフ・アフガニスタン担当大統領全権代表がノーボスチ通信(7月3日)に述べた。同通信によると、タリバン暫定政権を正式承認するのはロシアが初めてで、ロシア外務省のアンドレイ・ルデンコ次官が同日、同政権の駐ロシア大使から信任状の写しを受領した。
ロシア外務省は承認によってさまざまな分野で2国間協力の拡大に弾みがつくことに期待を示した。経済協力で重点を置く分野として、エネルギーや輸送、農業、インフラを挙げた。地域の安全保障やテロ・麻薬犯罪対策でも支援する意向だ(同省発表7月3日)。
高等経済学院欧州・国際総合研究センターの研究主任で、国際有識者会合「ワルダイ」(ワルダイ会議)のプログラム部長を務めるティモフェイ・ボルダチョフ氏は「ユーラシア地域の安全保障にロシアが中心的な役割を確保する重要な一歩」と評価した。経済的な観点では、ウズベキスタンが推進するアフガニスタン横断鉄道建設構想がユーラシア地域全体の物流を強化するという点で重要になり得るとの見方を示した。今後の見通しとして、ロシアの承認に他の国々が追随する可能性を指摘した(「フズグリャド」7月7日)。
タリバンはこれまでロシアでテロ組織に指定され、ロシア国内での活動が禁止されていたが、4月に最高裁判所がタリバンのテロ組織指定解除を決定し(2025年4月21日記事参照)、5月20日に連邦保安局の指定テロ組織リスト上で活動禁止措置が停止された。
(浅元薫哉)
(ロシア、アフガニスタン)
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