トランプ米政権、AI人材育成の取り組みに60社以上が参画と発表
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月02日
米国ホワイトハウスは6月30日、人工知能(AI)の人材育成に関する誓約文に60以上の企業・団体が署名したと発表した。
「米国の若者のための誓約、AI教育への投資」と題された誓約文では、K-12(注1)の学生と教師のAI技術や知識の向上に向けて、誓約企業・団体が今後4年間で資金・技術・資料の提供や、能力開発プログラムやメンターシップの提供などを行うことが盛り込まれている。
同誓約には、6月30日時点で、アマゾン、グーグル、アップル、メタなどのIT企業、オープンAIやスケールAIなどのAI開発企業、コードオルグやカーンアカデミーなどのEdTech(エドテック)企業、業界団体など、67の企業・団体が署名している(注2)。トランプ政権は、誓約企業・団体と協力し、今後具体的な助成金やプログラムを発表する予定だとしている。
同誓約は、ドナルド・トランプ大統領が2025年4月に発令した、米国のAI技術分野の競争力の確保に向け、AI技術を活用・開発する能力や知識を持つ人材の育成方針を示した大統領令(大統領令/ファクトシート
)に基づく取り組みの一環に位置付けられる。同大統領令では、ホワイトハウスに「AI教育タスクフォース」を設置したうえで、関係閣僚に学生と教師に対するAI技術の教育支援に取り組むことなどを指示した。
なお、トランプ大統領は2025年1月に、AI関連の規制緩和を指示する大統領令を発令した(2025年1月27日記事参照)。また、商務省は6月に、同省傘下の「米国AI安全性研究所(米国AISI)」の「AI基準・イノベーションセンター(CAISI)」への改組計画を発表した。その際、ハワード・ラトニック商務長官は、「国家安全保障を理由とする検閲や規制にイノベーターが制限されることはなくなる」「米国のAI技術のイノベーションを強化するとともに、米国の国家安全保障の確保を確実にする」と述べ、AI技術の開発や実装の推進と併せて、規制緩和を強調している。
(注1)米国の教育制度で、一般的な13年間の義務教育課程を示す。日本の教育制度の幼稚園年長から高等学校卒業の課程に相当する。
(注2)誓約文および企業・団体リストはホワイトハウスのウェブサイト参照。
(葛西泰介)
(米国)
ビジネス短信 d8bc8115ed573da9