トランプ米政権、日本との関税協議の合意に関するファクトシート公表

(米国、日本)

調査部米州課

2025年07月24日

米国のトランプ政権は米国時間7月23日、日本との関税協議の合意に関するファクトシートを公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドナルド・トランプ大統領は22日、日本と合意に至ったと明らかにし、日本政府も日本時間23日、合意を発表していた(2025年7月24日記事参照)。合意が発表されてから、米国政府が関連文書を公表するのは初めてとなる。

ファクトシートでは、日本による5,500億ドルの投資は「外国による過去最大の投資コミットメント」とし、何十万人もの米国人の雇用を創出し、国内製造を拡大すると指摘した。投資分野として、液化天然ガス(LNG)や送電網を含むエネルギーインフラ、半導体製造・研究開発、重要鉱物の採掘・加工・精製、医薬品・医療機器、造船を列挙した。これらの投資から生まれる利益の90%を米国が保持するとした。

合意の一環として、日本からの輸入品に「15%のベースライン関税」を適用すると記した。日本に課す予定の相互関税率を25%から15%に引き下げることを指すとみられる。ファクトシートでは、米国の対日輸出と日本の対米投資の拡大とあわせて、新たな関税枠組みは日米貿易に均衡をもたらすのに役立つと評価した。1962年通商拡大法232条に基づく自動車・同部品に対する追加関税の扱いには触れていない。

日本市場へのアクセスに関しては、農業・食品、エネルギー、製造・航空宇宙、自動車・工業品の4分野で、日本による輸入拡大や非関税障壁の撤廃を強調した。農業・食品では、コメ(注)やトウモロコシ、大豆、バイオエタノールなどを日本が購入するとした。

日本による対米投資について、日本政府は政府系金融機関が最大5,500億ドル規模の出資、融資、融資保証を提供可能にすることで合意したとしている。日本との協議を率いたスコット・ベッセント財務長官は7月23日、ブルームバーグのプログラムで「この革新的な資金メカニズム」が合意を可能にしたと説明した。

(注)日本政府の説明によると、今回の合意には、農産品を含めて日本側の関税率引き下げは含まれておらず、コメについては、年間77万トン程度を無税で輸入する現行のミニマムアクセス(最低輸入量)の枠内で、米国からの調達を増やす。

(甲斐野裕之)

(米国、日本)

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