日・ブルガリア政府、企業間の協業連携を後押し、共同声明署名

(ブルガリア、日本)

ブカレスト発

2025年07月01日

ブルガリア中小企業振興機構と日本の経済産業省、在ブルガリア日本大使館、ジェトロは625日、ソフィア市内で「日・ブルガリアビジネスフォーラム」を共同開催した。インフラやエネルギー、デジタル分野の協業促進を目指し、両国の政府・企業関係者約130人が参加した。同フォーラムは経済産業省主催の第2回中・東欧ミッション(2025年6月26日記事参照)の一環として行われ、日本企業24社、政府機関4団体が出席した。

写真 フォーラムの様子(ともにジェトロ撮影)

フォーラムの様子(ともにジェトロ撮影)

フォーラムの冒頭、加藤明良経済産業省政務官は、5月のルメン・ラデフ大統領訪日時、2国間関係が「戦略的パートナーシップ」に格上げされたことに触れ、日本の技術がブルガリア経済発展とウクライナ復興支援に貢献する重要性を強調した。トミスラフ・ドンチェフ副首相兼イノベーション・成長相は、エネルギー、自動車、IT、人工知能(AI)産業などでの連携の第一歩になるとし、EU加盟以降にブルガリアのGDP規模が4倍に増加している点をアピールした。ペーテル・ディロフ経済産業相は、ブルガリアがハイテク、イノベーション、IT分野の魅力的なビジネス投資先として認識されることを望むとともに、2024年の2国間貿易額が27,000万ドル超になった点に言及しつつ、高付加価値製品の輸出増加とOECD加盟への日本の支援を要請した。また、道上尚史・駐ブルガリア日本大使は「日本企業がブルガリアに戻ってきている」とし、現在多くの日本企業がブルガリアで事業を展開し、協力関係にあると語った。

写真 (左)ドンチェフ副首相兼イノベーション・成長相、(右)加藤政務官(ともにジェトロ撮影)

(左)ドンチェフ副首相兼イノベーション・成長相、(右)加藤政務官(ともにジェトロ撮影)

写真 (左)スタンコフ・エネルギー相、(右)道上・駐ブルガリア日本大使(ともにジェトロ撮影)

(左)スタンコフ・エネルギー相、(右)道上・駐ブルガリア日本大使(ともにジェトロ撮影)

基調講演では、ジェチョ・スタンコフ・エネルギー相が揚水発電プロジェクトでの技術連携と追加投資を歓迎し、リュベン・ナノフ運輸通信副相は、鉄道を中核とする国家輸送政策とゼロエミッション電気機関車の導入計画を説明した。経済産業省資源エネルギー庁の木原晋一・国際カーボンニュートラル政策統括調整官は、日本とブルガリアがエネルギー政策で類似課題を抱える点に触れ、日本の優れたクリーンエネルギー技術やグリーントランスフォーメーション(GX)戦略について説明した。後半では、3分野の日本企業とブルガリア企業、政府機関によるプレゼンテーションも行われた。

また、経済産業省とブルガリアイノベーション・成長省は、エネルギー転換、デジタル、鉄道、ウクライナ復興支援での協力可能性を含む共同声明に署名し、ジェトロとブルガリア投資庁(IBA)も両国の経済発展と投資促進の協力覚書(MOC)に署名した。

写真 共同声明、MOCへの署名(ジェトロ撮影)

共同声明、MOCへの署名(ジェトロ撮影)

ミッション一行は同日、ラデフ大統領を表敬訪問した。ラデフ氏は日本からの投資についてブルガリアが政治レベル、実務レベル、地方レベルで全面的に支援すると表明した。また、国内最大級のイノベーションハブのソフィア・テックパークや小型人工衛星開発企業のエンデュロサットも視察した。

(宮崎真里佳、小林京瑞)

(ブルガリア、日本)

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