日・ルーマニア政府、3分野で官民合同対話開催、共同声明に署名
(ルーマニア、日本)
ブカレスト発
2025年06月26日
ルーマニア政府と日本の経済産業省、在ルーマニア日本大使館、ジェトロは6月23日、ブカレスト市内で「運輸・エネルギー・デジタル化に関するルーマニア・日本戦略対話 2025」を共同開催した。3分野での協業促進を目的に、両国の政府や企業の関係者約120人が出席した。同対話は、経済産業省主催で6月23~26日に開催されている第2回中・東欧ミッションの一環として行われ、日本企業や関係機関から延べ26団体が代表団として参加した。
ラウンドテーブルの様子(ジェトロ撮影)
対話の冒頭、ミッションを率いる経済産業省の加藤明良政務官、片江学巳・駐ルーマニア日本大使、木原晋一経済産業省幹部、マリアナ・イオニツァ運輸・インフラ事務総長、クリスチャン・シルビウエネルギー省国務長官、クリスティーナ・ブレスグ経済・デジタル化・起業・観光省国務長官があいさつした。
両国の政府関係者と代表団一行(ジェトロ撮影)
加藤政務官は、ウクライナ復興支援にもつながるルーマニアを含む中・東欧地域への日系企業の進出を後押しするため、日本政府として1億6,000万ユーロ規模のファンドを準備していることを明らかにした。また、「オールジャパン」体制で今回のミッションに参加していること自体がルーマニアに対する日本側の強い関心と意欲の表れと述べ、今後のさらなる経済協力と官民連携の深化を呼びかけた。これに対して、ルーマニア側からは、日系企業の鉄道・空港分野への入札参加を呼びかけるとともに、脱炭素に向けた再生可能エネルギー(再エネ)や原子力の推進、デジタル分野の実践的な協力と具体的なプロジェクトの始動に期待を示した。
対話の後半では、3分野について、日本企業とルーマニアの企業、政府機関によるプレゼンテーションも行われた。
加藤政務官の講演(ジェトロ撮影)
また、経済産業省とルーマニア3省は次の3分野で共同声明に署名した。
- 輸送分野では、鉄道を含むインフラ近代化の可能性と官民協力の推進
- エネルギー分野では、原子力、水素、再エネ、蓄電池、二酸化炭素(CO2)の回収・有効利用・貯留(CCUS)の導入に向けた意見交換とウクライナ復興支援
- デジタル分野では、ルーマニアのIT人材と日本の技術を生かした協力の可能性
これら3分野をそれぞれ確認し、いずれの分野でもジェトロによる継続的な支援の重要性を再確認した。
(左上)ルーマニア運輸・インフラ省との共同声明、(右上)ルーマニアのエネルギー省との共同声明への署名、(下)経済・デジタル化・起業・観光省との共同声明(すべてジェトロ撮影)
同じ23日にはブカレスト市内の発電所、地下鉄、国際空港の現地視察も行われた。
(本吉美友)
(ルーマニア、日本)
ビジネス短信 4d727f7914a3e5ee