欧州委、タクソノミー規則の委任規則に関する簡素化法案を採択

(EU)

ブリュッセル発

2025年07月15日

欧州委員会は7月4日、タクソノミー規則(注)の委任規則を簡素化する法案を採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

タクソノミー規則の対象非金融企業は、自社の経済活動のうちでタクソノミー適格とみなされる活動を特定し、特定した経済活動がタクソノミーに適合したものかを評価し、同情報を開示することが求められる。

簡素化法案は、開示委任規則を改正することで自社のビジネスにとって重要でない経済活動に対する適合性評価を免除する。同法案は、重要でない経済活動について、対象非金融企業の経済活動のうち総売上高、資本的支出(CapEx)、収益的支出(OpEx)からなる重要業績評価指標(KPI)で10%未満の事業活動と定義し、こうした経済活動についてタクソノミー適格および適合性を評価しないことを認める。ただし、重要でない経済活動に当たるかはKPIごとに評価する必要がある。また、自社の経済活動の持続可能性を評価するに当たり、OpExが自社のビジネスモデルにとって総売上高やCapExに比べて重要でない場合、OpEx全体に関してタクソノミー適格および適合性の評価をしないことも認める。

また、開示規則に付属する開示テンプレートも簡素化する。これまでKPIごとに用意していたテンプレートを統合するとともに、経済活動ごとの情報を1行にまとめて開示するテンプレートを新たに導入する。これにより開示が求められるデータ項目が現行の78から28に削減される。原子力や化石燃料ガスの関連活動の業績や影響に関するテンプレートについても、開示すべきデータ項目を大幅に削減する。

さらに、気候関連や環境関連の委任規則が規定する「汚染の防止と管理」に関する「著しい害を与えない」基準についても、「化学品の使用と含有」について一部緩和する。

簡素化法案は、企業持続可能性報告指令(CSRD)などのオムニバス法案(2025年3月7日記事参照)の一環として発表されたものだ。パブリックコンサルテーション(公開諮問)を経て採択された同法案は、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会による審査で否決されなければ、成立する。欧州委は同法案を2025会計年度分について2026年1月から適用させたい考えだ。

(注)タクソノミー規則の詳細は、ジェトロの調査レポート「CSRD適用対象日系企業のためのESRS適用実務ガイダンス」(2024年5月)を参照。

(吉沼啓介)

(EU)

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