アフガニスタン横断鉄道のFS実施に関する協定、3カ国が締結
(ウズベキスタン、アフガニスタン、パキスタン)
タシケント発
2025年07月29日
アフガニスタンの首都カブールで7月17日に開催されたウズベキスタン、パキスタン、アフガニスタンの外相会談で、ウズベキスタンからアフガニスタン領土を経由し、パキスタンに至るアフガニスタン横断鉄道プロジェクトの実現可能性調査(FS)に関する政府間枠組み協定が各国運輸当局間で署名された。ウズベキスタン、アフガニスタン、パキスタンはこれまでも、鉄道建設に向けた協議を重ねてきていた(2025年3月21日記事参照)。同協定は、ユーラシアのハブとしての鉄道建設と関係国の発展促進のために調査を実施するものだ。ただし、鉄道の開業予定年は明らかになっておらず、建設資金のめどは立っていないとみられる。
ウズベキスタン鉄道の発表(7月18日)によると、今回の計画で予定されているルートは、テルメズ(ウズベキスタン)~ナイババド(アフガニスタン)~マイダンシャフル(同)~ロガル(同)~ハルラチ(同、パキスタンの国境付近)。鉄道の全長は647キロとなる。ウズベキスタン運輸省の予測では、鉄道開通後、パキスタンのカラチ港からウズベキスタンまでの貨物輸送期間は現在のトラック輸送で必要な35日から、約3~5日に短縮される(「Gazeta.uz」7月21日)。鉄道の運用開始後、第1段階では年間300万トンの貨物輸送が予定されており、2035~2040年までに輸送量を1500万~2000万トンまで拡大する見込み。
ウズベキスタン運輸省のジャスルベク・チョリエフ次官は21日の国営放送で、この鉄道が開通すれば、ウズベキスタンの貨物がアフガニスタンを経由し、パキスタンのカラチ港から世界へ最短ルートでアクセスできると述べ、国際的なサプライチェーンへの参入に期待を寄せた。他方、プロジェクトの建設資金調達の見通しは立っていないとみられる。チョリエフ次官は資金調達方法について、プロジェクトのFSが完了した後に決定されると述べた(7月21日)。
アフガニスタンを経由する鉄道を巡っては、各国が関心を示している。ロシアは推進中の南北国際輸送路に組み込むことに興味を示しており、アフガニスタン政府と交渉を続けている(「独立新聞」7月6日)。カザフスタンも横断鉄道の建設に関心を示している(2025年7月16日記事参照)。
(ウラジミル・スタノフォフ)
(ウズベキスタン、アフガニスタン、パキスタン)
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