トランプ米大統領、EUとメキシコに30%の追加関税通告
(米国、EU、メキシコ)
ニューヨーク発
2025年07月14日
米国のドナルド・トランプ大統領は7月12日、EUとメキシコに対し、8月1日から30%の追加関税を課すと通告する書簡を自身のSNSで公開した。EUに対しては他国への書簡と同様に、EUの関税・非関税障壁が米国の貿易赤字の要因になっていること、メキシコに対してはこれらのほかに、合成麻薬フェンタニルの流入を阻止できていないことを追加関税賦課の理由に挙げた。
トランプ氏はこれまで日本やカナダなど23カ国に対して、8月1日から追加関税を課すと通告する同様の書簡を公開している(2025年7月11日記事参照)。EUとメキシコに対しても、他の書簡同様、米国内で製造すれば関税はかからないとして、対米投資を促す記載や、報復措置を取れば追加関税率を引き上げるとの記載も含めた。
EUに対する相互関税率は当初20%だったため、10ポイント増加したことになる。書簡では、EUが関税・非関税障壁を取り除けば、追加関税率を改めると記載した。
メキシコに対しては、同国が国境警備に協力してきたと記載したものの、カルテル対策が十分でないと指摘し、フェンタニル流入問題を解決すれば追加税率を改めると記載した。トランプ政権は3月4日以降、米国へのフェンタニル流入防止を目的に、メキシコとカナダからの輸入品に最大25%の追加関税を課している(2025年4月3日記事参照)。今回の30%の追加関税率と、これら既存の追加関税措置との関係性は現時点では不透明だ。
なお、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則を満たしていれば、追加関税の対象外としている(2025年3月7日記事参照)。米国通商専門誌「インサイドUSトレード」(7月12日)によると、米国政府関係者は、USMCAの原産地規則を満たしている品目は8月1日以降も追加関税の対象外となり、カリウムやカナダ産エネルギーなど低い追加関税率が適用されている品目の税率は引き上げないと示唆している。ただし、同時に、トランプ氏はこの件に関してまだ最終決定を下していないとも伝えている。
(赤平大寿)
(米国、EU、メキシコ)
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