5月の米個人消費支出、消費は弱い伸び、物価はわずかに伸び加速

(米国)

ニューヨーク発

2025年07月01日

米国商務省は6月27日、5月の個人消費支出(PCE)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した。小売り(2025年6月18日記事参照)と同様、財・サービスともに消費者の買い控え傾向がみられた。一方で、こうした需要の軟化傾向とは逆に、物価はわずかながら上昇している。

所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.4%減(前月0.7%増)と、市場予測(0.3%増)を大きく下回った。ただし、減少の大きな要因は所得移転(前月比2.2%減、寄与度マイナス0.4ポイント)によるもので、前月に社会保障給付還付の関連で生じた一時的な伸びの反動減による影響が大きい。雇用者報酬(前月比同0.4%増、寄与度0.2ポイント)は前月とほぼ同じ水準の伸びだった。名目可処分所得(0.6%減)も低下し、消費(前月比0.1%減、寄与度マイナス0.1ポイント)や貯蓄(前月比8.8%減、寄与度マイナス0.4ポイント)を下押しした(添付資料表1参照)。

個人消費支出を実質ベースでみると、前月比0.3%減となった。内訳では、財部門(寄与度マイナス0.28 ポイント)は、自動車(同マイナス0.23ポイント)などの耐久財を中心に減少し、駆け込み需要の反動減の影響が続いているもようだ。5月は、輸送サービス(同マイナス0.02ポイント)や外食サービス(同マイナス0.06ポイント)を中心に、需要が低下したことを受け、サービス部門(同マイナス0.02ポイント)も減少に転じた(添付資料表2参照)。

物価関連では、PCEデフレーターは前年同月比2.3%増(前月2.2%増)、前月比では0.1%増(前月0.1%増)だった(添付資料表3参照)。変動が大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は、前年同月比2.7%増(前月2.6%増)、前月比は0.2%増(前月0.1%増)、米国連邦準備制度理事会(FRB)が参照するコア指数の3カ月前比、6カ月前比は、それぞれ1.7%(前月2.9%)、2.9%(前月2.8%)だった。コア指数の数値はいずれも市場予想をわずかに上回った。前月比でみた場合の内訳では、財(寄与度0.02ポイント)では玩具や医薬品など一部アイテムで、サービス(寄与度0.11ポイント)でも専門サービスなどを中心に伸びが加速した。

(加藤翔一)

(米国)

ビジネス短信 c1f5a25756119a3a