EVバッテリーをデータセンター用蓄電池に転用、米GMとレッドウッドが提携
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月24日
米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)は7月16日、バッテリーリサイクルのレッドウッドマテリアルズ(本社:ネバダ州カーソンシティー)と、米国製の新品の電気自動車(EV)バッテリーと、GM車から回収した使用済みバッテリーパックをエネルギー貯蔵システムに活用するための覚書(MOU)を締結したと発表した。今回の提携により、GMは先端バッテリー技術をEV以外にも広げることを目指す。
GMのバッテリー・推進・サステナビリティー担当副社長のカート・ケルティ氏は「グリッド規模の蓄電市場は拡大し続けているだけではなく、不可欠なインフラになりつつある。電力需要は増加しており、今後さらに加速するだろう。この課題に対処するために、米国は迅速かつ経済的に導入できる国内で製造可能なエネルギー貯蔵の解決策を必要としている。GMのバッテリーはその中核的役割を果たすことができる。われわれは単により良い車を作るだけでなく、強靭(きょうじん)で柔軟なエネルギーの未来をかたち作っているのだ」とコメントした。
レッドウッド最高経営責任者(CEO)のJ.B.ストローベル氏は「GMのEV用使用済みバッテリーと新品バッテリーの両方をレッドウッドの貯蔵システムに導入することで、迅速で柔軟な電力ソリューションを提供し、米国のエネルギーと製造業の自立性を強化する」と意気込みを示した。レッドウッドは6月、リサイクル用に回収したEVバッテリーを活用して電力の貯蔵・供給を行う新事業「レッドウッド・エナジー」を開始すると発表している(2025年6月30日記事参照)。
両社による今回のMOUに基づく事業の詳細は2025年後半に発表する予定としている。
ブルームバーグNEFの試算によると、米国のデータセンターの電力需要は2024年の約35ギガワット時(GWh)から、2035年には78GWhに倍増する見込みだ。EV販売の勢いが鈍化する中、既に多額の投資が行われたEVバッテリーを需要拡大が見込まれる電力インフラ向けに転用することで、新たな成長の機会となることが期待される。
(大原典子)
(米国)
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