米レッドウッド、使用済みEVバッテリーによる電力貯蔵・供給事業を開始
(米国)
サンフランシスコ発
2025年06月30日
米国の電気自動車(EV)用バッテリー材のリサイクル企業レッドウッド・マテリアルズ(本社:ネバダ州カーソンシティー)は6月26日、リサイクル用に回収したEVバッテリーを活用し、電力の貯蔵、供給を行う新事業「レッドウッド・エナジー」を開始すると発表した。同社は現在、北米全域で年間20ギガワット時(GWh)、EV換算で約25万台分に相当するバッテリーを回収済みだ。これらのバッテリーを活用することで、リチウムイオン電池による電力貯蔵施設の新設に比べ、大幅なコスト削減が可能となる。米国の電力需要が大幅に増加する中(2025年6月17日記事参照)、新たな供給源として重要な役割を果たすことを目指している。
同社によると、回収した使用済みバッテリーの多くは依然として50%以上の容量を有しており、これらを再利用することで、エネルギー貯蔵コストを削減できる。再利用可能と判断したバッテリーを独自のモジュール式貯蔵システムに統合し、太陽光や風力などの電力源からの電力貯蔵に使用する。使用寿命を迎えたバッテリーは鉱物などの回収を行い、リサイクルする。このシステムは既に、人工知能(AI)データセンターインフラ構築のクルーソー(本社:コロラド州デンバー、注)のモジュール型データセンターに63メガワット時(MWh)の電力を供給している。
同社は既に1GWhのバッテリーを開発パイプラインに導入しており、2026年にはさらに5GWhのバッテリーを導入する計画だ。同社のJ.B.ストローベル最高経営責任者(CEO)は「コアのリサイクル事業よりも急速に拡大する可能性があると考えている」と複数のメディアに語っている(2024年6月4日、2023年9月4日記事参照)。
(注)クリーンエネルギーを活用したAIデータセンター構築を主業とするスタートアップ。テキサス州アビリーンに大規模データセンターを有している。
(芦崎暢)
(米国)
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