筆記具大手パイロット、インドに世界初の店舗をオープン

(インド、日本)

ニューデリー発

2025年07月02日

筆記具大手のパイロットコーポレーションが71日、インド北部ハリヤナ州のグルグラムに自社製品のみを扱う専門店をオープンした。同社は、1983年から現地代理店を経由してインドで文具の製造・販売事業を展開してきた。2022年にはさらなる事業拡大を目指し、単独資本のインド法人であるPPINを設立。さらに、2023年にはハリヤナ州マネサール工業団地に自社工場を設立(2023年7月27日記事参照)し、水性ボールペンの製造を開始した。今回新たに設けた店舗では、主に万年筆や高級ラインのボールペンを扱い、ブランドの認知度向上を狙う。

PPIN代表取締役社長の私市(きさいち)広樹氏によると、パイロットコーポレーションが店舗を設けるのは世界初だという(ヒアリング日:202559日)。日本や同社が進出する他の地域には、複数ブランドを整った陳列で販売する文具店が存在する。一方、インドの文具店では、商品が無造作に扱われていることに加え、1店舗当たりの陳列スペースも小さく、商品を雑然と並べた店が多い。そこで、インドでは、自社製品の魅力を消費者に伝えるために、自社で店舗を設ける必要があると判断した。

写真 店舗外観(PPIN提供)

店舗外観(PPIN提供)

同社がインドでメインに展開する製品は、価格帯が50~100ルピー(約85~170円、1ルピー=約1.7円)のボールペンだ。他方、今回新たに設ける店舗では、上位中間層以上のインド人をターゲットとして、2,000ルピー以上の高級ラインのボールペンや万年筆を主に取り扱い、販売よりも商品のブランディングやマーケティングを重視する。立地は、長期的にターゲット層に認知してもらうことを狙い、ショッピングモール内ではなく、学生や富裕層が多いエリアで地域に密着しているグルグラムの「ガレリア・マーケット」を選んだ。

写真 店舗内部(PPIN提供)

店舗内部(PPIN提供)

今後の展望について、私市氏は「インドでは、今後も子供を含めた人口が拡大していくことに加え、『書く』文化が残っており、筆記具の需要も引き続き伸びていくとみている。店舗を足掛かりとして、インド市場で当社のブランド力を高めていきたい」と話した。国連人口推計によると、2024年のインドの人口は約14億5,000万人で、2061年ごろまで人口増加が続くとみられている。

(佐藤利昭)

(インド、日本)

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