パイロット、インド北部ハリヤナ州に自社工場を設立

(インド、日本)

ニューデリー発

2023年07月27日

日本のパイロットコーポレーションのインド子会社PPINプライベート・リミテッド(以下、PPIN)は7月24日、インド国内初となる自社工場の開所式を行った。新工場は、デリー首都圏のハリヤナ州マネサール工業団地内に立地し、インド国内市場向けに水性ボールペンを生産する。同工場は7月上旬に既に部分稼働を開始しており、10月ごろに本格稼働となる予定だ。

パイロットコーポレーションはこれまで、現地販売代理店を経由してインドで事業を展開してきた。しかし、今後、成長市場を本格的に取り込むには現地法人が必要と判断し、2022年8月に単独資本のインド法人であるPPINを設立。2023年6月末をもって、従来の現地販売代理店との契約を終了させている。同社の人員体制は現在約240人で、うち生産ラインには約100人が従事(間接雇用を含む)。営業担当者を約100人置き、インド国内にある30以上の地域代理店と連携してマーケティングを行う。

PPIN代表取締役社長の私市広樹氏によると、インド国内のボールペン市場における一般的な価格帯は、1本当たり10ルピー(約17円、1ルピー=約1.7円)程度だ(ヒアリング日:2023年7月4、19日)。一方、同社としては、市場全体の5~10%程度を占める1本当たり50~100ルピーの高価格帯を主力製品に据える計画だ。インドの教育制度において筆記試験は重視される傾向が強く、特に中高校生や大学生は「ラッキーペン」として普段よりも品質の良いボールペンを持って試験に臨む慣習があるという。PPINはこうした需要を取り込んでいきたい考えだ。

国連の推計では、インドは2023年内に世界最大の人口を抱える国となる見通しだ(2022年9月27日付地域・分析レポート参照)。これに連動して、インドでは大学をはじめとした高等教育機関に進学する人口も増えつつある。インド教育省の発表によると、高等教育の就学人口は約4,138万人(2020年度:2020年4月~2021年3月)と、4年前の2016年度(約3,571万人)比で15.9%増加した。また、18~23歳の人口に占める高等教育就学率も近年上昇傾向にあり、直近では27.3%(2020年度)にまで達している。

写真 PPIN新工場の外観(PPIN提供)

PPIN新工場の外観(PPIN提供)

(広木拓)

(インド、日本)

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