2024年の人口は1億1,272万人に増加、増加率は前回調査より鈍化

(フィリピン)

マニラ発

2025年07月28日

フィリピン統計庁(PSA)は7月17日、人口センサス(POPCEN)の調査結果として、同国の人口は1億1,272万9,484人(2024年7月1日時点)だったと発表した。前回2020年調査(約1億904万人)から約369万人増加した。

また、2020年から2024年までの増加率は0.8%だった。調査期間は数カ月異なるが、前回(2015年から2020年まで、注1)の増加率1.63%と比べると、大きく低下した。PSAは今回の増加率低下について、少子化や出生率の低下、新型コロナウイルス渦での死亡率上昇、移民の減少など、さまざまな要因が挙げられるとした。

PSAが公表している最新の合計特殊出生率(2022年)は1.9で、2017年の2.7から大きく減少し、人口置換水準(注2)の2.1を下回った(2022年11月28日記事参照)。フィリピン人口開発委員会(CPD)によると、近年では経済的負担を理由に、子どもを持つ代わりにペットを飼育することを選択するカップルが増加しているという(3月25日付「フィル・スター」紙)。

地域別に人口をみると、18の行政区域のうち、カラバルソン地域(注3)が1,693万人で最大だった。次にマニラ首都圏1,400万人、中部ルソン地域1,299万人と続き、この3地域でフィリピン全体の39.0%を占めている。最も人口が少ない地域はコルディエラ地域(注4)で、180万人(全体の1.6%)だった。

2015年から2020年、2020年から2024年の人口増加率を比較すると、18地域のうち16地域で下がった。そのうちムスリム・ミンダナオ・バンサモロ自治地域は年間3.43%を記録し、同国全体で増加率が最も高い地域となった。次いで中部ルソン地域1.08%、カラバルソン地域1.07%、マニラ首都圏0.91%、北部ミンダナオ地域0.73%と続く。ビコール地域(注5)は唯一減少し、マイナス0.07%だった。

今回の調査結果は大統領布告第973号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(7月11日付)に基づくフィリピンの正式統計となる。

(注1)今回の人口センサスは2024年7月時点。前回は2020年5月時点、前々回は2015年8月時点だった。

(注2)人口が長期的に一定となる出生の水準のこと。

(注3)ルソン島南部に位置する地域で、首都マニラの南東に広がる。

(注4)ルソン島北部の内陸部に位置する山岳地帯。

(注5)ルソン島南部に位置する地域で、ビコール半島とその周辺の島々から構成される。

(杉山咲、アギラー・パールホープ)

(フィリピン)

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