インドネシア、BRICS首脳会合に初参加、多国間主義と経済協力を強調
(インドネシア、ブラジル、米国)
ジャカルタ発
2025年07月09日
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は7月6、7日にブラジルのリオデジャネイロで開催された第17回BRICS首脳会合に出席した(2025年7月7日付インドネシア大統領府プレスリリース)。会合では多国間主義の強化などを掲げた「リオデジャネイロ宣言」が採択され、2025年1月に正式加盟したインドネシアの初参加を歓迎した。
プラボウォ大統領は、世界情勢が多極化する中で多国間主義の復活が重要だと強調し、新開発銀行(NDB)の活用拡大やグローバルサウス諸国との経済協力の強化に意欲を示した。同行したアイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は、インドネシアの加盟によってBRICSが世界のGDPの約40%、人口の約56%をカバーする枠組みとなったことを強調した。また、NDBへの参画について「グリーントランスフォーメーション(GX)推進や、持続可能な経済成長を支える開発資金へのアクセスを可能にする戦略的な取り組みだ」と述べた。
米国の関税措置、BRICSの連携対応が必要
米国のドナルド・トランプ大統領は7月6日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で、BRICS諸国に対して10%の追加関税を課す方針を示唆した(2025年7月8日記事参照)。これに対し、インドネシアの国立開発大学のエコノミストで、公共政策の専門家のアフマッド・ヌル・ヒダヤット氏は「この関税措置は、BRICS加盟国が米国の圧力に屈するのか、それとも、結束を強めて対抗するのかという、BRICSの存在意義を問う試金石となる」と指摘した。また、インドネシアの繊維、鉄鋼、パーム油加工品やインドの医薬品、IT分野、ブラジルの肉や大豆など、各国が抱える脆弱(ぜいじゃく)性に触れた上で、「米国に対する交渉力を高めるためには、BRICS加盟国で連携して対応する必要がある」と強調した(7月8日付、「リプタン6」)。
(大滝泰史)
(インドネシア、ブラジル、米国)
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