非合法鉱業の合法化促進の登録制度、有効期限を再延長
(ペルー)
リマ発
2025年07月01日
ペルー政府は6月28日、非合法鉱業の合法化を促進することを目的とする鉱業合法化統合登録(REINFO)制度を2025年12月31日まで延長することを発表した(大統領令012-2025-EM)。エネルギー鉱山省(MINEM)はREINFOに代わる制度〔手工業的・小規模採掘正規化法(MAPE)〕を提案し、違法鉱業の政府による監督強化を目指している。しかし、MAPEに対しては議会の反発が強く、REINFOが6月30日まで延長されていたが(2024年12月25日記事参照)、さらに半年間延ばすこことなった。なお、今回の大統領令には、これを最後の延長とすることも明記した。
ホルヘ・モンテロ・エネルギー鉱山相はこれに先立つ24日にペルー国営放送のニュース番組に出演し、REINFOの期間延長を検討していることを明らかにしていた。合法化プロセスを進める意思のある中小零細規模の鉱業会社経営者を対象に、2025年までに合法化することを支援する措置として意義を説明した。また、対象はREINFOに登録済み、もしくは登録手続き中の事業者と個人に限り、新規登録受け付けは行わないので、非合法事業者を増やすことにはならないと強調した。期間を延長することにより、登録事業者が事業の合法化を進めるため、各地方自治体が抱える汚染や治安などの違法鉱業問題の解決にも資するとコメントした。
産業界はREINFO延長の効果について、懐疑的な見方を示す。ペルー鉱業・石油・エネルギー協会(SNMPE)のフリア・トレブランカ会長は「2016年に始まった制度で、既に9年が経過している。この間に合法化していない鉱業会社が2025年中に合法化すると考える合理的な理由をMINEMに聞いているが、明確な回答は示されていない。延長措置により違法鉱業関係者が活動を継続しやすくなる。2026年の総選挙の準備を進める政党へ資金援助を行い、わが国の行政に介入する事態は避けるべきだ」と述べた(「エル・コメルシオ」紙6月26日)。
金の国際価格上昇を背景に、違法鉱業が活発化し、従事者の賃金上昇(2025年6月25日記事参照)や、一部の議員への政治闇献金につながるなどの事態に発展しており、2026年4月に実施される選挙への影響が懸念されている。
(石田達也)
(ペルー)
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