タイ政府、景気刺激策を承認、インフラや観光に投資
(タイ)
バンコク発
2025年07月09日
タイ財務省は6月24日、景気刺激策として総額1,153億7,500万バーツ(約5,192億円、1バーツ=約4.5円)相当のプロジェクト481件を承認したことを発表した。
今回の刺激策は、国民への現金給付策のデジタルウォレット第3弾の予算枠1,570億バーツを経済対策に充当したものだ(2025年5月26日記事参照)。財務省は、プロジェクトの実施によってGDPを0.4ポイント押し上げる効果が期待され、740万人以上の雇用を創出すると試算している。
プロジェクトの主な内容は次のとおり。
1.インフラ開発(34プロジェクト、850億バーツ、注)
- 洪水・渇水対策、水資源や水道インフラ整備など
- 地方の主要都市を結ぶ道路整備などの交通インフラ改善、交通安全の向上
2.観光開発(420プロジェクト、100億5,300万バーツ)
- 観光地、宿泊施設やトイレなどの施設整備
- 観光地での監視カメラ設置など、観光客の安全向上
- 特に地方の主要都市の国内観光の活性化
3.輸出上の支援、生産性向上、デジタル化(10プロジェクト、111億2,200万バーツ)
- 米国による相互関税の影響を受けた中小企業へのローン支援
- 国際貿易・農業関連事業のデジタルインフラ整備
4.地方経済への還元(17プロジェクト、92億100万バーツ)
- 全国の村や都市のコミュニティー基金設立、人的資本開発、地方経済発展
インフラ分野では、19万1,167ライ(約305平方キロ、1ライ=0.0016平方キロ)の土地が洪水や土壌浸食から保全されるほか、417キロの道路新設や既存の1,689路線の改修などが実施される(6月24日付「ネーション」紙)。また、観光分野への投資を通じて、276万人以上の観光客の増加が見込まれ、550億バーツ以上の経済効果が期待される。
(注)財務省が公表する景気刺激策の全体額と個別プロジェクトの合算は、公表値が切り上げられているため、完全には一致しない。
(ピンラウィー・シリサップ、藪恭兵)
(タイ)
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