米相互関税、フィリピンには20%に引き上げ、経済閣僚やマルコス大統領が訪米予定
(フィリピン、米国)
マニラ発
2025年07月15日
フィリピンのマリア・クリスティーナ・ロケ貿易産業相は7月10日、米国から相互関税率に関する書簡(2025年7月10日記事参照)を同日早朝に受け取ったことを明らかにした。フィリピンは4月時点では17%の税率が提示されていたが(2025年4月14日記事参照)、今回20%に引き上げられた。ロケ貿易産業相は「米国は交渉に応じる姿勢を示している」と述べ、「20%という税率は(ASEAN諸国内で)2番目に低い(注)が、いずれ協議する必要がある」と会見で表明した。
米国のドナルド・トランプ大統領は書簡で「大幅な貿易赤字を抱えているにもかかわらず、フィリピンとの協力を継続することに合意した」と述べた。書簡には「2025年8月1日以降、米国に輸出される全てのフィリピン製品に対し、セクター別関税とは別に、一律20%の関税をフィリピンに課す」と明記されている。さらに、トランプ大統領は「フィリピン企業、または在フィリピン企業が米国内で製造・生産することを決定した場合は、関税を課さない」とし、「フィリピンが関税や非関税障壁などの貿易障壁を撤廃した場合、米国は調整を再検討する」と述べた。
フレデリック・ゴー投資・経済担当大統領特別補佐官は7月14日の週に米首都ワシントンを訪問し、交渉を行うとしている。この交渉には、ロケ貿易産業相とセフェリーノ・ロドルフォ次官らも同行する。また、フェルディナンド・マルコス大統領も7月20日から22日の日程で訪米する予定だ。
現地報道によると、一部のアナリストは「フィリピンは米国との交渉で、米国産の豚肉や鶏肉、トウモロコシの輸入割当量の引き上げを検討する可能性がある」と指摘している(7月14日付「ビジネス・ワールド」紙)。
(注)ASEAN諸国で比較すると、シンガポールとブルネイ(ベース関税10%のみ)に次いで2番目に低い税率となる。
(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)
(フィリピン、米国)
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