ヒンナムノー国立公園、世界自然遺産に登録

(ラオス、ベトナム)

ビエンチャン発

2025年07月16日

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会(注1)は7月6~16日、フランス・パリのユネスコ本部で第47回会合を開催した。7月13日に、ラオス中部カムアン県ブアラパー郡にあるヒンナムノー国立公園〔面積約9万4,000ヘクタール(ha)、緩衝地域約7万6,000ha〕を新たに世界自然遺産に登録すると発表した。同公園は、既に世界遺産に登録されているベトナム・クアンチ省のフォンニャ・ケバン国立公園(面積約12万ha、緩衝地域約22万ha)に隣接しており、同公園を拡張するかたちで登録されることになった。

「フォンニャ・ケバン国立公園とヒンナムノー国立公園」は4億年以上前に形成された熱帯カルスト地形が広がる地域で、アンナン山脈が南北に縦断する特徴的なエリアだ。西側にラオスのヒンナムノー国立公園が、東側にベトナムのフォンニャ・ケバン国立公園があり、72キロメートルにわたる両国の国境線を共有するトランスバウンダリー・サイト(注2)となっている。両国は2018年から、共同で世界遺産登録に向けた推薦書を作成し、2024年2月にユネスコに提出していた。

なお、ヒンナムノー国立公園には大規模なカルスト地形が広がり、全長6.4キロメートルのセーバンファイ洞窟をはじめとする巨大な洞窟や地下河川がある。また、絶滅危惧種を含む多くの固有種が生息し、地元住民による伝統的な土地利用慣行など卓越した普遍的価値を有している。

写真 ヒンナムノー国立公園のカルスト地形(ジェトロ撮影)

ヒンナムノー国立公園のカルスト地形(ジェトロ撮影)

これまで、ラオスでは世界文化遺産として、(1)ルアンパバーンの町、(2)チャンパサック県の文化的景観にあるワット・プーと関連古代遺産群、(3)シェンクワン県のジャール平原巨大石壺(つぼ)群(2019年7月29日記事参照)の計3カ所が登録されており、世界自然遺産としては今回が初めての登録となる。

(注1)世界遺産委員会は、「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」を管理する組織で、条約締約国195カ国から選出された21カ国の代表で構成される。通常、年1回の通常会合を開催し、世界遺産リストへの新規登録申請の審査や既に登録された遺産の保存状態の評価などを行っている。

(注2)トランスバウンダリー・サイトとは、国境を越えて複数国が保有する世界遺産のこと。

(山田健一郎)

(ラオス、ベトナム)

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