米政府、半導体設計技術企業に1.4億ドルの罰金、輸出管理規則違反を理由に
(米国、中国)
ニューヨーク発
2025年07月30日
米国司法省は7月28日、輸出管理規則(EAR)違反を理由に、米国の半導体設計自動化(EDA)製品大手のケイデンス・デザイン・システムズに罰金を科したと発表した。商務省産業安全保障局(BIS)も同社に罰金を科したと発表
した。司法省とBISは罰金の金額を調整し、合計で1億4,000万ドル以上の罰金を科した(注)。
司法省の発表によれば、同社および同社中国子会社は2015年2月~2021年4月に、エンティティー・リスト(EL)に掲載された中国の国防科技大学(NUDT)の関連企業に対し、規制品目のEDAハードウエア・ソフトウエアおよび半導体設計の知的財産技術をBISの許可なく提供した。ELは、輸出管理のいわゆる「ブラックリスト」にあたり、EL掲載事業体に米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出、再輸出、みなし輸出などを行う場合には、BISの輸出許可(ライセンス)が必要となる。EL掲載事業体の関連会社に輸出などを行う場合には、EL掲載事業体とは法的に独立した別の事業体として、ライセンス要件が適用されないが、最終使用者(エンドユーザー)がEL掲載事業体であること、またはその可能性を認識しながらBISの許可なく輸出などを行った場合には、EAR違反となる(EAR一般禁止事項10)。
BISの発表で、ジェフリー・ケスラー商務次官(産業安全保障担当)は「輸出管理法令に違反し、国家安全保障を脅かす企業は、再犯を防止するために強力な罰則に処されるべきだ。本日の措置は、BISがこの目標を実現するための決意を示すものだ」と述べ、輸出管理を厳格に執行する姿勢を強調した。
米国メディアによれば、BISは2025年5月に、ケイデンスなどの米国のEDA製品大手のソフトウエアの対中輸出に関するライセンスを一時停止していた(2025年5月30日記事参照)。
(注)司法省の刑事罰は1億1,800万ドルの罰金、BISの行政罰は9,500万ドルの罰金。司法省の刑事罰は、同社が違反行為の証拠の提出など捜査に協力したことや、同社が輸出管理コンプライアンスの強化に取り組むことなどを理由に、法定の最高金額から20%減額された。
(葛西泰介)
(米国、中国)
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