リーブス英財務相、金融サービス部門の競争力強化に向けた改革発表
(英国)
ロンドン発
2025年07月30日
英国のレイチェル・リーブス財務相は7月15日、ロンドン市長官邸「マンション・ハウス」で演説し、金融サービスの競争力強化に向けた改革を打ち出した。
演説では、同日に発表した「リーズ改革」や、8つの成長産業の1つの金融サービスの戦略(2025年6月25日記事参照)「金融サービス成長・競争力戦略
」について言及し、過度な規制の緩和、英国が強みを持つ分野を対象とした改革の実施、さらなる資本の動員に向けた要件の変更、リテール投資(個人による投資)の拡大に向けた施策の導入を行うとした。
「リーズ改革」では、金融分野への投資拡大に向けた障壁の緩和を目的として、主に次の取り組みを行うとしている。
- 2026年以降、長期資産ファンド(LTAF)を個人貯蓄口座(ISA)で保有することを許可。
- 投資局(OfI)内に金融サービス分野の外国企業向けのコンシェルジュサービスを創設。企業のニーズに合わせた投資計画の策定を支援。
- 初めて住宅を購入する層を対象とした優遇ローンの年収要件を引き下げ。既に住宅ローンを利用している層については、条件変更に関するルールを簡素化。
- 銀行規制に関する国際統一基準のバーゼルIIIに基づく国内規制について、英国の競争力に資するかたちで2027年1月から導入。
- 預金保護を目的としたリテール(小口金融)業務と投資業務を分離するリングフェンス規制を見直し。
金融サービス成長・競争力戦略では、これらの規制改革に加え、投資管理、保険・再保険、サステナブルファイナンスといった分野の成長機会に注力することを打ち出したほか、国際連携やイノベーション、地域の産業集積支援なども盛り込んだ。国際連携については、EU、米国、中国、インド、湾岸諸国などとの関係深化を掲げたほか、スタートアップやスケールアップに特化した部門を金融行為規制機構(FCA)と健全性規制機構(PRA)に設置し、資金へのアクセスを強化するとしている。
このほか、演説では、導入が検討されていた英国版タクソノミー規制の撤回や、上場や資金調達手続きの簡素化に向けた目論見書規則の改革(詳細はFCAウェブサイト参照)、OfIへの上場タスクフォースの新設などにも言及した。
(山田恭之)
(英国)
ビジネス短信 97014af3b97c5d02