5月の物価上昇率は前月比1.5%、5年ぶりの低い水準に
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年07月03日
アルゼンチンの国家統計センサス局(INDEC)は6月12日、2025年5月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均で前月比1.5%だったと発表した。2020年5月(1.5%)以来の低い水準となった。前年同月比(年率)の上昇率は43.5%だった(添付資料図参照)。
5月の前月比の上昇率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスがマイナス2.7%で、前月のプラス1.9%からマイナスに転じた。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは1.3%(前月は1.8%)、季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は2.2%(前月は3.2%)で、それぞれ前月から減速した。
前月比の上昇率を費目別にみると、平均値を上回ったのは通信の4.1%、外食・ホテルの3.0%、医療・健康の2.7%などだった(添付資料表1参照)。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は0.5%にとどまった。
6月12日付現地紙「インフォバエ」(電子版)は、5月のCPIの減速には3つの要因があった、と報じている。まず、資本取引規制が解除された後(2025年4月16日記事参照)、予想に反して対ドル為替レートがペソ安に振れなかったことが物価を押し上げなかった。次に、消費の落ち込みが続いていることで、特に衣類・靴類や酒類の価格が引き上げられなかった。そして、季節によって変動する生鮮食品の価格が大幅に下がったことを挙げている。
6月のCPIは、5月に比べて再び加速するとの見通しだ。6月27日付現地紙「クラリン」(電子版)がまとめた現地調査会社の予想では、食品や燃料の価格、公共交通機関の料金の引き上げがあったため、6月のCPIは前月比1.7%から2.2%となる見込みだ。ジェトロが独自に調査した首都ブエノスアイレスの6月26日時点の品目別の物価をみても、燃料やバス料金、地下鉄料金の値上げのほか、肉類、卵、油などの多くの製品で値上げがみられた(添付資料表2参照)。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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