ミレイ政権の経済安定化計画は第3段階、資本取引規制の解除へ

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年04月16日

アルゼンチン中央銀行(BCRA)は4月11日、IMFによる新たな拡大信用供与措置(EFF)による支援が同日、IMF理事会に承認されたことを受け、ハビエル・ミレイ政権が進める経済安定化計画が第3段階に入ったと発表した。第1段階では、インフレを引き起こすマネタリーベースの増加を防ぐべく、財政赤字ゼロ、中銀による財政ファイナンスゼロを実行。第2段階では、広義のマネタリーベースに上限を設け、流動性管理を強化し、マネタリーベースを増加させる資金供給源を排除した。そして第3段階は、資本取引規制の解除だ。

IMFの融資金を使って経済省が中銀からドル建て非譲渡手形を買い戻し、自由アルゼンチン再建債(BOPREAL)を担保としたリバースレポ取引を20億ドルまで拡大する入札を行うことで、2025年内に外貨準備高を231億ドル増加させる可能性があるとしている。中銀のバランスシートが大幅に改善することで、資本取引規制の緩和が可能になるとしている。

第3段階では、次の金融、為替政策を実行する。

  • インターバンク市場(MLC)における為替レートに1,000ドルから1,400ドルの変動幅を設定。その上限と下限を毎月1%の割合で拡大させる。変動幅の中で為替レートは自由変動する。
  • 輸出代金のペソへの両替に適用されるブレンドドル(公式為替レート8:CCLレート2の割合)を廃止。ただし、輸出代金の国内還流義務(ペソへの両替義務)は維持。
  • 2025年から始まる会計年度における外国株主への利益送金を中銀の事前承認なく行うことを認める。
  • 自然人に対する為替取引規制の廃止(購入できる外貨の上限を撤廃)。
  • 輸入代金の支払い規制の緩和。
  • 2023年12月12日以前に輸入され、輸入代金が未払いのもの、すなわち滞留輸入債務と、2025年以前の関係会社に対する金融債務、配当金を対象とした新たなBOPREALの発行。
  • 自然人が証券取引を行う場合の最低保有期間(パーキング期間)を廃止。
  • 国庫への財政ファイナンスゼロ、債務の返済のための通貨発行ゼロを維持。通貨供給量を厳格に管理する。

中銀は、これらの措置によりインフレ抑制、雇用、投資、生産性の改善、民間部門の貯蓄と信用の回復、外貨準備高の蓄積を後押しし、持続可能な経済基盤の確立が可能になるとしている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

ビジネス短信 0e85854a119796cd