2025年上半期の外国直接投資、件数・金額とも前年同期より増加

(ベトナム)

ハノイ発

2025年07月23日

ベトナム外国投資庁によると、2025年1~6月の対内直接投資(認可ベース、6月30日時点、出資・株式取得を除く)は新規・拡張を合わせ2,814件となり、前年同期比で32.1%増加した。認可額は182億3,629万ドルで、35.2%増だった(注)。

業種別にみると、件数、認可額ともに1位の製造業は、1,226件(前年同期比31.7%増)、105億6,526万ドル(1.9%増)だった(添付資料表1参照)。認可額の2位は不動産で48億3,780万ドル(143.0%増)、3位は給水・廃棄物処理で8億9,795万ドルとなった。一方、件数の2位は小売り・卸売りなどで799件(31.0%増)、3位はコンサルなどで279件(45.3%増)だった。

4~6月の最大の投資案件は、マレーシアの建設・不動産大手ガムダによる、首都ハノイ市イエンソー・パークの都市開発プロジェクト(拡張投資、約11億2,000万ドル)だった。製造業で最大の案件は、H&Mグループなどが出資するスウェーデン発のリサイクルスタートアップのサイア(Syre)による中部ザーライ省(旧ビンディン省、2025年7月1日記事参照)での再生ポリエステル工場(新規投資、10億ドル)だった。

国・地域別の認可額は、シンガポールが34億3,133万ドル(前年同期比34.4%減)で首位だった(添付資料表2参照)。2位は韓国で28億1,334万ドル(2.5倍)、3位は中国で24億1,094万ドル(99.2%増)となった。日本は4位で、19億958万ドル(55.9%増)だった。また、件数は、中国が736件(38.1%増)で首位だった。2位のシンガポールが378件(33.1%増)、3位の韓国が359件(6.8%増)と続いた。日本は237件(31.7%増)で5位だった。

日本の大型案件では、イオンモールによる南部カントー市でのショッピングモール開発案件(新規投資、約2億1,600万ドル)と、住友商事による中部タインホア省でのタンロン工業団地タインホアの開発案件(通称TLIP4、新規投資、約1億1,580万ドル)があった。

出資・株式取得は、件数が1,708件(前年同期比20.3%増)、認可額が32億8,337万ドル(93.4%増)となった。なお、直接投資の実行額(推計)は117億2,000万ドル(8.1%増)だった。

1~6月の外国企業による直接投資は、認可件数・額ともに前年同期を上回ったものの、製造業の認可額は、1~3月の前年同期比64.7%増と比べて大きく伸びが鈍化した。米国の関税政策による不確実性の高まりが、生産移管などを進める外国企業の大型投資の計画に影響を与えているとみられる。

(注)外国投資庁は、以前は当月20日時点の数字を公開していたが、2024年8月から当月末日時点の数字を公開する運用に変更したため、集計期間は前年同期と一致しない。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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