ベッセント米財務長官、G20財務相会議を再び欠席

(南アフリカ共和国、米国)

ヨハネスブルク発

2025年07月22日

南アフリカ共和国のダーバン郊外で7月17~18日、G20財務相・中央銀行総裁会議が開催された。2月のケープタウン会合(2025年3月3日記事参照)に続き、米国のスコット・ベッセント財務長官、ジェローム・パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は欠席した。ベッセント財務長官は、7月19日に大阪・関西万博の米国ナショナルデーに出席するため、訪日することが発表されていた。日本からは加藤勝信財務相が出席したが、植田和男日本銀行総裁は欠席した。

南アがG20議長国を務めていることもあり、同国のシリル・ラマポーザ大統領はアフリカが抱える諸課題、すなわち債務問題、開発資金の確保、公正なエネルギー移行などで議論の前進を図ることに意欲を示していた。

債務問題に関しては、2020年末に立ち上げられたG20共通枠組みの進展が期待されたが、動きは鈍いままという。南アのエノック・ゴドングワナ財務相は2025年3月にアフリカ専門家パネルを立ち上げ、かつて財務相を務め、世界銀行総裁候補にも名前が挙がったトレバー・マニュエル氏を議長に任命し、債務救済を始めとするさまざまな取り組みを活性化させることを目指している。マニュエル議長はメディアに対し、「既に枠組みの改善に関する詳細な提言の作成に着手している」とし、「改革の1つは、共通枠組みの機会を全ての中所得国にも提供できるようにすることだ」と述べた。

開発資金の確保についても見通しは厳しい。トランプ政権は米国国際開発庁(USAID)を事実上解体したことに加え、米国が多額の拠出金を出してきた国際機関からも距離を置く姿勢を鮮明にしている。アフリカへの開発資金投入が絞られれば、保健や医療といった喫緊の課題に対応する資金も不足することが予想され、人道問題に直結するとの指摘も多い。開発資金不足のみならず、米国の高関税で通常経済活動にも影響が懸念される中(2025年7月9日記事参照)、南アを含むアフリカ側の状況は、苦境の度合いを増している。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、米国)

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